依田菜津「誰かの心にずっと残るようなキャラクターになりたい」【声優図鑑】

アニメ部

2020/5/13

依田菜津"

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第239回目に登場するのは、海外ドラマ『アレクサ&ケイティ』の主人公アレクサ役や、TVアニメ『ねこざかな』などで経験を積み、2020年には『ヒーリングっど♥プリキュア』の沢泉ちゆ/キュアフォンテーヌ役に抜擢された依田菜津さん。

過去に遡った幼少期のお話は、特技であるパソコンのエピソードからスタート。他にも、声優になってから大きく心を動かされたプリキュアシリーズへの想いや、同期声優とのかけがえのない関係性など、パーソナルなことをたくさん語っていただきました!

——アニメに吹き替えに活躍されている依田さんですが、小さい頃はどんな子どもでしたか?

依田:外で元気に遊ぶような子どもではあったんですけど、小さい頃からパソコンが好きで。当時ホームページを作っていたパソコン好きのお姉さんが身近にいて、教えてもらっていました。小学校に上がる頃には、おばあちゃんが家にパソコンを買ってくれて。親にローマ字を習いながらネット検索を楽しんでいましたね。「ポケモンずかん」をさわっているような感覚だったのかも。それからは、Windowsの遍歴とともに成長してきました(笑)。

——Windowsとともに(笑)。成長につれて、パソコンの遊び方も変わっていったのでしょうか。

依田:そうですね。小学4年でパソコン教室に入って、当時のパソコン好きはみんなやっていたことですけど、HTMLの言語でホームページを作るのが好きでした。高校で情報処理課に入学してからは、いわゆるITを。情報処理部にも入っていて、パソコンの仕組みや活用法を学びながら大会に出ることもありました。

——いわゆる理系ということ?

依田:頭の作りからすると、すごく理屈っぽいっていつも言われますね。わからないことがあると、すぐにメカニズムを調べちゃいます。お話をする時も、順を追わないと話せなくて。きっと要点をポンッてお伝えしたほうがいいこともあると思うんですが、お恥ずかしい…。

——いえいえ、いい個性だなと思います! そんななかで声優を目指したのはいつ頃?

依田:中学生で『テニスの王子様』にハマって映画のDVDを見ていたら、キャラクター達が主題歌を歌っていたんですよ。それってテニス部の活動とはちょっと外れるじゃないですか(笑)。ということは、歌っている人がいるんだなと思って調べたら、越前リョーマ役の皆川純子さんのお名前が出てきて。それから一気に世界が広がりました。声優への夢も浮かんでいましたけど、全然現実的じゃないなと思っていったんあきらめて、大学は得意のパソコンを生かして進学しました。

——日本ナレーション演技研究所には、同時に通っていたんですか?

依田:はい。通学の定期内で通える養成所を偶然見つけて、中学時代の夢がもう一度むくむくと膨らんできましたね。でも、あんまり周りに夢を語るほうではないので、日ナレに通っていることはほとんど親には言わず、バイトをしながら通って。照れ臭さもあって大学の友人にも伝えませんでした。

——周りに伝えたのは、どのタイミングで?

依田:大学3年の時です。所属が決まって、単位を取ったら上京しようと思っていたから、言わないわけにはいかなくて。みんなに驚かれました(笑)。でも、大学のインカレで企業と組んで商材を売ったりする時に、発表するのがどちらかというと得意だったし、就活の準備でも「声や滑舌がいいので耳に入ってきやすいから得をする」って言っていただけたことがあって、日ナレの経験がいろんなところで役に立つな、と当時から思っていました。

——学生時代の充実ぶりが伝わってきますね。いざ仕事を始めてから大変なことはありましたか?

依田:デビューした頃は吹き替えがメインで、しゃべる分量が多いのが大変でした!Netflix作品でとにかくしゃべる女の子を演じたとき、セリフ量にゾッとして(笑)。チェックにもリハーサルにも時間をかけてしまうタイプなので、本当はよくないことなのですが、ほぼ徹夜で現場に。馬に乗っているシーンで、風が吹いている海辺の場面を想像して体感しながらセリフを言う…っていうマイク前でのお芝居の仕方を学ばせていただいたりして、ありがたい現場でした。

——そんな経験を経て、TVアニメ『プリキュア』シリーズに何作か出演されています。『プリキュア』にはもともと興味があったとか。

依田:TVアニメ『ねこざかな』で引坂理絵ちゃんと仲良くさせていただいて、理絵ちゃんがデビュー2年目くらいで『HUGっと!プリキュア』のキュアエール役に決まった時に「わーすごい!」と思って。同じようなキャリアの理絵ちゃんがプリキュアとして頑張っている姿に心を打たれたし、応援したいと思ったし、その現場に行ってみたいなと思いました。そうしたら、たまたま若宮アンリくんの幼少期役として入れてもらえたんですね。ホントにうれしかったです。

——依田さんにとって『プリキュア』の魅力とは?

依田:大人になってからも純粋に夢を持たせてくれる、力のある作品だと思います。私は現実主義者で、小さい頃は夢を目指すタイプではなかったんですけど、理絵ちゃんには本当に憧れてしまって。幼少期のアンリくんのセリフ「なんでもできる」を言う時にも、自分がこの言葉を信じられなくてどうするんだろうっていう気持ちにもなって。だから、みんなの憧れだから簡単になれるものではないけど、プリキュアの「なんでもできる!なんでもなれる!」っていう精神で、「自分もプリキュアになりたいと言ってみよう!」と思ったんです。

——プリキュアへの情熱がどんどん高まっていったのですね。その流れで『スター☆トゥインクルプリキュア』にも出演し、ついに『ヒーリングっど♥プリキュア』沢泉ちゆ/キュアフォンテーヌ役でプリキュアになる夢が叶ったと。

依田:ちゆちゃんには思い入れが強すぎて、オーディションでは本当に緊張しました。その頃、『アレクサ&ケイティ』のアレクサ役で、セリフ量の多さに真っ青になりながら演じたことは一つの自信になったと思っていたのに。もう、緊張で後ろに倒れていくかと思いました! 当日のことはほとんど覚えていないんですけど、思いの強さだけはぶつけられたのかなと。ちゆちゃんはなんでもできる女の子ですけど、理屈っぽいところがあるんですよ! 最初は自分とは程遠いと思ったけど、考えれば考えるほど自分に近いものを感じて、自然体で演じられているなと思います。

——次に挑戦してみたい役柄は?

依田:まだまだ経験不足ですが、ワクワクする夢みたいな話をすると、もともと少年を演じることが多かったので、何かのアニメの少年役でたくさんしゃべることができたらなと思うのと、『マリア様がみてる』が大好きで、女子校モノに出てみたいなって気持ちはずっとありますね。私自身も商業高校で9割が女の子だったんですよ。とても楽しかったので、もう一度青春をしたい(笑)!

——これから目指す声優像はありますか?

依田:漫画やアニメが大好きで、ずっと心に残っている作品やセリフがあるので、私自身も誰かの心にずっと残るような作品やキャラクターに携われたらなと思います。日ナレで『クレヨンしんちゃん』の野原みさえ役をしている、ならはしみきさんに教わったんですが、よく知っている方で何度も聞いた声なのに、作品を見ると、みさえというキャラクターが生きて存在しているとしか思えない! っていつも感動するんです。だから私も、依田がやってるけどキャラが生きて存在してるようにしか見えない、と言ってもらえる役者になりたいです。

それから、小説や漫画、アニメや歌なんかもそうなのですが、そういったものに出てくる言葉が好きで、学生時代にファイルの後ろにきれいにレタリングしたり、好きな一説や一文を何回も読み返したりしていたんです。声優として、そういう“言葉”に携われていることもうれしいなといつも感じます。

——言葉を自分で書いたりすることは?

依田:多趣味なほうですが、物語作りはあきらめたことの一つで…。お話を作る才能はまったくないんです! ゼロからイチを生み出すのって本当に大変。だから、私は素敵な言葉をもらい、演じるほうで頑張ります(笑)。

——プライベートについても伺いますが、休日はよく絵を描いているとか。

依田:はい。小さな頃から好きで、小学生の頃はいつも机や自由帳に絵を描いていました。中学1年の時にお年玉でペンタブを買い、去年は本当にお財布に痛手でしたけど思い切ってiPad Proを購入したんですよ。だから、休日は無心でデジタルのお絵描きをしていることが多いですね。最近はSNSにもアップするようになりました! 昨年末にようやくSNSを始めて、自分ツイートが下手だから絵をあげるだけになるんだろうなと思っていたら、恥ずかしくて絵もアップできなくて。何のパーソナルも見えないSNSになっていたんですけど、ようやく少し見せられるようになったのかなと。

——SNSにパーソナルなことを書くのが恥ずかしかった?

依田:話が長くなってしまうタイプなので、伝えきれないなら一切言わない!みたいなところがあるんです(笑)。親に声優になる夢を打ち明けなかったのもそうですけど。よくないなあとは思っていて(笑)。これから少しずつお伝えしていきたいと思います!

——じゃあ、お休みの日はお絵描きをしたり、それをSNSにアップしてみたり。

依田:そうですね。本当にインドアなので、おいしいものを買い込んで、どうやったら外出しないで過ごせるのかを計算しながら(笑)。話すスピードは早いけど、人よりテンポが遅いんですよ。わかりやすく言うと「トロい」んですね。だから休日は、何遍読むんだってくらい同じ本を読み返したり、テレビを観たりしているうちに一日が終わっています。でも最近ちょっとヤバイなと思って。陸上部のちゆちゃんを見習って走ろうかな、と思っています。

——声優のお友だちと会ったりすることは?

依田:あります! 私が所属するアーツビジョンでいうと、同期が類を見ない仲の良さで。女性だと五十音順で、櫻庭有紗、白城なお、春野杏、藤原夏海、牧野天音。それこそ、お休みの日は誰かの家に集まってボードゲームをしようとか、事務所へ寄った帰りに「誰か近くにいないの?」って連絡してお茶したりとか。普段も、「こんな失敗しちゃって…」と、白城なおにすぐ電話しちゃいます。

——個別でも会うし、みんなで会うこともあると。

依田:そうですね。吹き替えでよく一緒になるのは櫻庭有紗だし、趣味が合うのは牧野天音。70年代の少女漫画が好きで、古い作品だから読んでる人はいないだろうな〜と思っていたら、『トーマの心臓』とか『ポーの一族』とか『風と木の詩』とか、牧野が私よりくわしくて。みんな、デビュー当時から一緒に切磋琢磨してきて、全員を尊敬していますし、仲のいい同期がいてよかったっていつも思います。基本、バカな話しかしてませんけど(笑)。

——本当に仲がいいんだなというのが伝わりました! 最後に、読者へのメッセージをお願いします。

依田:つたない話になってしまいましたが、ここまでお付き合いくださってありがとうございました。まだまだ新人ですが、今後少しでもみなさんのお目にかかれるように精進してまいりますので、どこかで見かけたら「お、いるな」と思ってもらえたらうれしく思いますし、これを機に依田を知って気にかけてくだされば、うれしいなと思います!

――依田さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】依田菜津さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

依田菜津

依田菜津(よりた・なつ)アーツビジョン所属

依田菜津(よりた・なつ)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト