探偵団メンバーを演じるメインキャスト5人が集う、語り合う!――TVアニメ『美少年探偵団』座談会(後編)

アニメ

公開日:2021/5/30

美少年探偵団
TVアニメ『美少年探偵団』 ABCテレビ、テレビ朝日他にて毎週土曜26:00~放送中 (C)西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 眩しいほどに美しい、謎解き冒険譚――小説家・西尾維新が手掛ける小説『美少年』シリーズが、アニメ化された。〈物語〉シリーズのアニメ化を手掛けた新房昭之総監督と、アニメ制作会社・シャフトによって、5人の美しい少年たちと少女の物語がつむがれる。その美少年探偵団のメンバーを演じるキャスト陣=双頭院学役・村瀬歩、咲口長広役・坂泰斗、袋井 満役・増田俊樹、足利飆太役・矢野奨吾、指輪創作役・佐藤元の5人が集結。個性的なキャラクター達について、語り合ってもらった。後編では、作品のストーリーテラーである紅一点・瞳島眉美と、彼女を演じる先輩声優・坂本真綾とのお芝居について語り合ってもらった。キャスト陣が語る、『美少年探偵団』ならではの特別な魅力とは――?

ストーリーテラーでありながら、ストーリーに振り回されている眉美(増田)

――美少年探偵団のメンバーは、瞳島眉美とともにさまざまな事件に立ち向かっていきます。十年前に見た星を探すことを依頼したことをきっかけに、美少年探偵団へ参加していく少女・瞳島眉美に、どんな印象をお持ちですか。

増田:ストーリーテラーでありながら、ストーリーに振り回されている感じがありますね。マナブと点対称なキャラクターなんです。快活に明るく接するけど、裏返すと過干渉で面倒くささを感じるマナブと、めんどくささがありながらも親近感を感じる眉美。美少年探偵団のリーダーのマナブと、そこに入ってくる眉美。この作品の中核を担うふたりが、対照的なキャラクターになっているところが面白いなと思っています。眉美とマナブの掛け合いも噛み合っていないようで、噛み合っている。その絶妙な感じが、第1話から描かれていて、眉美が受け入れながらも、受け入れきれない距離感がいい塩梅になっていると感じています。

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:眉美じゃないと、美少年探偵団という特殊なグループに入ることはできないと思います。

佐藤:眉美は自分のことを普通の人だと思っているのですが、明らかに普通じゃないですよね。美少年探偵団のメンバーはそれぞれ自分自身の信念であったり、根幹に願いもあるのですが、眉美はそういうものが、ある意味で空白なんです。原作を読んでいるときは、「この子の核は何だろう」とずっと考えていたんです。でも、坂本さんが演じられることで、「ああ、なるほど」という感じがあって。眉美のあり方がアニメで観たときにまた違った印象を感じられたと思います。

村瀬:この眉美という役は上手い人が演じるからこそ、面白いんだろうなと思っていました。今回、坂本真綾さんががっつりと眉美役を演じてくださっていて、とても嬉しいです。

:そう、美少年探偵団の中でも、一番難しい役ですよね。眉美はすごく個性的なキャラクターなんですけど、探偵団のメンバーのようにキャラクター性を前面に出すのではなく、そのメンバーたちに翻弄されるニュートラルさがないといけない。そのバランスを坂本さんが表現されていて、収録でご一緒させていただいて、本当にすごいなと感じていました。彼女がいることで探偵団のメンバーも際立っているし、彼女が語り部だからこそ、この『美少年探偵団』という作品が成り立っていると感じています。

――眉美役の坂本真綾さんのお芝居はいかがですか。

村瀬:単純に言っちゃうと、「先輩はすごいな」って思います。自分で台本を読んだときに、自分だったらどうやるかな、難しそうだなって思うんです。でも、それをアフレコ現場で真綾さんが演じると「なるほど、こうするのか!」と勉強させてもらうところがあって。あとは、リクエストされたことに、何でもトライしようとする真綾さんの姿勢がすごく好きですね。方向性が違ったときに「え、違うの?」っていう感じとか、失敗したときに「ちくしょー」って言っているときとか、眉美らしいなと思います。美少年探偵団の中に、眉美はただひとり入るわけだから、ある意味で「逆ハーレムもの」なのかなって思われそうなキャラクターなんですけど、実は美少年たちに翻弄されて、美少年を翻弄して、事件の渦中に入っていくキャラクターなんだよと。真綾さんが演じることで、それが良いバランスで表現されているんですよね。一緒にレギュラーで演じられて、刺激にもなるし、勉強にもなってありがたいなと思っています。

:僕も真綾さんとご一緒できて、すごく刺激を感じています。紅茶を呑んだときにぶわーっと吐くシーンがあるんですが、そこをどうやってやるんだろうと思ったら、ナチュラルに面白いお芝居をされていて。「うわー、眉美だあ」と感じる瞬間が、随所にあるんです。

矢野:セリフの量も一番多いですし、セリフだけじゃなく、行間やアドリブも成立されているので、それがすごいなと思っています。

美少年探偵団

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アフレコを見て、西尾先生の中にも新しい息吹が生まれたのだとすれば、僕らも光栄(村瀬)

――TVアニメ『美少年探偵団』を、視聴者の方にどのように楽しんでもらいたいと思いますか。

佐藤:西尾先生の原作もすばらしいですし、キャラクターたちがこれからいろいろと動き出すと思います。ぜひ、ご覧になるみなさんにはソーサクくんがどんなタイミングでしゃべるかを楽しみにしていただきたいです(笑)。今回は彼がしゃべるかな? しゃべらないかな? というワクワクも楽しいと思います。

矢野:アニメを制作しているシャフトさんは、とても個性的な映像を作ってくださるので、アニメになった時に、どんな風に完成されてるのかが、自分たちも毎回とても楽しみです。原作をお読みになっている方も、アニメ版をご覧になると「こうなるか!」とたくさん驚いて頂けていると思います。

増田:僕等が収録している段階では、完成する絵が見えないんです。収録は進めているのですが、僕もいち視聴者と同じ気持ちで、アニメの放送とフィルムの完成を毎回楽しみにしています。

:絵が綺麗ですし、カットがすごく早く切り替わるんですが、それぞれ絵として映えているんです。これがシャフトさんの作品なんだなと驚いています。何度見ても新しい発見がありますし、sumikaさんによるオープニングテーマ「Shake & Shake」も作品にばっちりハマっているなと思っているので、ぜひ最初から最後まで作品を楽しんでいただきたいです。

村瀬:団員たちがアニメの宣伝をしてくださったので、僕はこの作品全体の話をしたいなと思います。この原作は第11巻でいちおう完結しているんですね。僕らはそこに第1巻から順にアニメとしていちから携わっているんです。でも今回、『モルグ街の美少年』という美少年シリーズの新刊が発売されました。これまでの「美少年」シリーズは江戸川乱歩モチーフだったんですが、今度はエドガー・アラン・ポーがモチーフ、というのも面白いですよね。

 担当編集の方からお話を伺ったのですが、第1話のアフレコを西尾維新先生が実際にご覧になったときにインスピレーションを受けて、新刊を書き始めたそうなんです。西尾先生の中にも、そういう新しい息吹が生まれたのだとすれば、僕らも光栄だし、その時点でアニメ化の意味があったな、とも感じています。アニメの絵もめちゃめちゃ美しいし、劇伴もすごく凝ったものになっています。この先のオンエアも、この先の「美少年」シリーズの展開も楽しみにしていただけると嬉しいです。

座談会前編はこちら

TVアニメ『美少年探偵団』公式サイト

取材・文=志田英邦

村瀬歩(むらせ・あゆむ)
アメリカ合衆国出身。ヴィムス所属。出演作に『ハイキュー!!』日向翔陽役、『DEVILMAN crybaby』飛鳥了役、『魔入りました!入間くん』鈴木入間役など。

坂泰斗(ばん・たいと)
福岡県出身。プロ・フィット所属。出演作に『魔術士オーフェンはぐれ旅』ハーティア役、『詩季織々「陽だまりの朝食」』ハーティア役など。

増田俊樹(ますだ・としき)
広島県出身。トイズファクトリー所属。出演作に『アイドリッシュセブン』和泉一織役、『妖怪学園Y ~Nとの遭遇~』雷堂メラ役、『ヴィジュアルプリズン』ディミトリ・ロマネ役など。

矢野奨吾(やの・しょうご)
徳島県出身。スーパーエキセントリックシアター所属。出演作に『ギヴン』佐藤真冬役、『ツルネ -風舞高校弓道部-』如月七緒役、『ヴィジュアルプリズン』ジャック・ムートン役など。

佐藤元(さとう・げん)
神奈川県出身。アイムエンタープライズ所属。出演作に『星合の空』布津凜太朗役、『弱キャラ友崎くん』友崎文也役、『灼熱カバディ』畦道相馬役など。


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