恋愛シーンの実体験は「4割」と「五分五分」/はあちゅう×紗倉まな対談【後編】

エンタメ

2017/4/7

 はあちゅうさんと紗倉まなさん。相思相愛対談の後編です!

対談前編はこちらから読めます⇒//ddnavi.com/news/366148/

「いったい何部売れてるの!?」(はあちゅう

紗倉まな(以下、紗倉):私の友人で、はあちゅうさんにめちゃくちゃ嫉妬している人がいるんです。「自分と同い年なのにすごい!」っていつも言ってて(苦笑)。だけど、『言葉を使いこなして人生を変える』を読むと、はあちゅうさんも他人に嫉妬することがあるって書かれていてびっくりしたんです。「あのはあちゅうさんが!」と。

はあちゅう:私、めっちゃ嫉妬しますよ!

紗倉:私も嫉妬の塊なんです。才能あるなーって思う書き手の方の本とか、どうしても読めなくなる時があって。自分と比較しちゃうし、自信を失っちゃうんですよね。

はあちゅう:嫉妬と尊敬って紙一重みたいなものだと思うんです。嫉妬するからこそ好きになるし、尊敬に変わるんだろうなって。

紗倉:嫉妬してる時点で、もう相手に恋してるも同然かもしれませんよね。はあちゅうさんの新刊を見かけると、やっぱり気になっちゃいますし(笑)。

はあちゅう:まなちゃんの本なんてよく行く渋谷のTSUTAYAでいつもランクインしてるから、行くたびに、「いったい何部売れてるの!?」って思わずググったんだよ(笑)。それに、出版関係の偉い人がまなちゃんの本をすごく褒めてて、「良いなぁ」「うらやましいなぁ」って。

紗倉:なんだか、私たち似てるかもしれませんね(笑)。

「実際に母から届いたメールです」(紗倉まな

はあちゅう:私、小説って「解けない問題」を延々と解かされる感じがするんです。ヒントもないし、誰も教えてくれないから、いったいいつになったら解放されるんだろうって。そもそも、「これは小説になっているのかな」って思ったりもするし……。まなちゃんは小説を書いていて不安になることってありますか?

紗倉:涙がでるほどあります(汗)! 編集さんに一番最初に原稿を見てもらった時、これは自分の日記なのか文学なのか、そこからわからなくて。「文章になってるのかな」「小説ってなんなのかな」って不安でした。あと自信を持って出した原稿よりもそうじゃないものの方が褒めてもらえたりするんです。気持ちに波がある時に書いたものが、すごく評価されたり。それで、文章ってナマモノなんだなって思うようになりました。

はあちゅう:あまり考えすぎずに書き始めるんですか? それとも、がっちりストーリーを決めてから?

紗倉:「これ、めっちゃ良い!」っていう一文が浮かんだら書き始めて、そうするとなんとなくまとまった文章が生まれるじゃないですか。それがいくつか溜まったら、うまくつないで物語にできないかなって考えたり……。はあちゅうさんはどういう感じで書かれるんですか?

はあちゅう:私も書き方が定まっているわけではないんですけど、去年、最終的にツジツマが合わなくなって捨てるハメになってしまった原稿があって。その経験を踏まえて、いま書いているものはラストまで展開を決めて書いてます。途中途中は書きながら考えてるんですけどね。

紗倉:一番難しいのって、物語が盛り上がる前と後の些細な部分じゃないですか? 日常のワンシーンや細かい心情の変化みたいなものを書くのが難しくて、他の作家さんの本を読んで勉強してるんです。

はあちゅう:確かに、些細なシーンって難しいですよね。だけど、『凹凸(おうとつ)』の中で、お母さんから「いま、明太子でご飯食べてるよ」「おいしいってだけで、感じられる幸せ」っていうメールが届くシーン、すごく良かったです。まなちゃんはここが書きたかったんだ、って勝手に推察しながら読みました。

紗倉:それは実際に母から届いたメールの文面で、いまでも思い出すと涙が出てくるんですけど……。はあちゅうさんにはバレちゃいましたね(笑)。

はあちゅう:恋愛のシーンでも、これは実体験だろうなとか探ったりしてます。

紗倉はあちゅうさんは(実体験を)どれくらい交えるんですか?

はあちゅう:う~ん、4割くらいですかねぇ。まなちゃんは?

紗倉:私は半々くらいかな……。でも、現実の描写を入れてる方が多いかもしれないです。

はあちゅう:本を読む時に、これは実体験だろうなとか、ここはフィクションだろうなって想像するのも楽しいですよね。『最低。』も、直近の恋愛から引っ張ってきたものが入ってるのかなって思いながら読みました。

紗倉:あれは妄想なんですけどね(照)。はあちゅうさんは、自分が書いた恋愛の話をもし恋人に読まれたらどうしますか!?

はあちゅう:読まれても大丈夫だけど、あえて読まなくて良いです(笑)。私、どちらかというと、恋愛がうまくいっているものよりも、うまくいかなくて憎しみみたいな強い感情とセットになっている思い出を書きたくなるんですよね。当時のドロドロしていた自分をすくい上げたいという気持ちがあるのかもしれません。だから、過去の恋愛とかを書いたら、もしかしたら元カレは復讐されてる気持ちになるかもしれませんね。私は別に暴露したいとか復讐したいってことで書きたいわけじゃないんですけどね。あくまでも過去の自分の経験と今の自分の折り合いをつけたいだけで。

紗倉:エッセイでも書かれてましたけど、幸せになると書けなくなるんじゃないかっていう不安はありますか?

はあちゅう:ちょっとありますね。幸せな時って感情が穏やかで波がないから、かなり神経を研ぎ澄ませていないと書くべきことが見つからない。でも、不幸な時って書くべきことがどんどん溜まっていくんですよ。だから、嫌なことがなくなりすぎると書けなくなるのかなって思います。

紗倉:幸せではいたいんだけど、それなりの不幸がないと書けない。

 ひとりの女性として幸せになりたい。しかし、ひとりの書き手として不幸であることも必要だと感じる。ふたりの作家は、「書く」ことに人生を賭けているのだろう。

 キャリアは違えど、作品に向かう姿勢や共感するポイントなど、共通点が多いふたり。対談も大幅に終了時間を過ぎてしまったため、そろそろ終わりであることを告げると……。

紗倉:えっ! もう終わりですか!!??

はあちゅう:(間髪入れずに)最後にひとつだけ良いですか!? まなちゃん、三作目は何を書くのかだけ教えて!!!

紗倉:はい(笑)。いまはまだ思い浮かんでいないんですけど、暗い作風が続いてしまったので、今度はあたたかくて楽しいものが書きたいなって。はあちゅうさんは、3本の短編をまとめるんですか?

はあちゅう:そうですね。短編集は夏頃に出版する予定です。それと別に、書き下ろしの恋愛小説も出す予定です。

紗倉:わー! めっちゃ楽しみです!!

はあちゅう:続きはLINEでやりましょう!というわけでIDを…(笑)

構成=五十嵐 大
写真=飯岡拓也