新たな1万円札の顔「渋沢栄一」ってどんな人? “日本近代化の父”の生き方とは

マンガ

公開日:2021/2/9

渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)
『渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)』(大石学:監修、絢前ゆうた:著・イラスト/学研プラス)

 長らく1万円札の顔は福沢諭吉だったが、2024年から新しい紙幣に切り替わることが決定している。新たな最高額紙幣の肖像となるのは、“日本近代化の父”こと渋沢栄一。日本の偉人の中で、最も現代の日常生活に影響を与えている人物の1人だが、その業績はあまり知られていない。「イマイチ馴染みがない」と思われる方もいるのではないだろうか…。

 渋沢が一体何者なのか知りたければ、『NEW日本の伝記』シリーズの最新刊『渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)』を手に取ってみることをオススメする。同書では、92年にわたる渋沢の生涯をマンガによってわかりやすく解説。波乱万丈の人生におけるクライマックスシーンを厳選し、描き出している。また、巻末には年表などの資料や博物館ガイドなども掲載されているので、この本を入り口により知識を深めていくこともできるはずだ。

 現代において、渋沢の関わった会社のモノやサービスにふれずに1日を送ることはほとんど不可能。織田信長や西郷隆盛など偉人は数々いるが、その点では他の追随を許さないほどだ。以下ではそんな渋沢の一生について、一部をご紹介していこう。

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渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)

 彼は幕末の武蔵国血洗島(現在の埼玉県深谷市)の豪農の家に生まれ、幼い頃から書物に親しんでいた。とくに儒学を深く学び、『論語』が人生の指針になり続けたという。また、若い頃から優れた商才を示し、家業でもある“藍”の買い付けを一人で行っていた。

渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)

 その後、幕末の嵐の時代が訪れることに。かつて藩の役人に理不尽な扱いを受けた渋沢は、幕藩政治を変革することを求めて、尊王攘夷の志士として活動するようになる。手始めに高崎城を乗っ取り、横浜の外国人の住む館を焼き払う計画を立てるものの、計画が露見し京都に身を隠す。

渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)

 それから渋沢は、ひょんなことから徳川家一族の一橋家に仕官することに。幕藩政治に反感を募らせていた尊王攘夷の志士から、正反対の徳川家一門の家臣となった。その裏側にあったのは、「内側から政治を変えたい」という思いだ。一橋家でも持ち前の才能を生かして大活躍した渋沢は、主君・慶喜の15代将軍就任にあわせて幕臣となり、重大な任務を与えられる。

渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)

渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)

 幕府がパリ万博に参加することになると、渋沢はパリに派遣される。そこで最新の機械や美しいパリの街に驚かされたが、最も興味を抱いたのは経済制度だった。人々が出資し、大きな事業をなしとげることができる「株式会社」という仕組みに魅了されたのだ。

渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)

渋沢栄一(学研まんが NEW日本の伝記)

 日本に帰国したとき、すでに幕府は倒れたあと。慶喜のもとで働いていた渋沢は、新政府にヘッドハントされ、ここでも才能を発揮。役人をやめ、経済人として生きるようになる。そして日本初の銀行「第一国立銀行」を設立し、次々と会社を立ち上げ、経営していく。さらに栄一は慈善活動にも力を入れ、晩年には悪化した日米関係の改善のために「青い目の人形」で知られる人形交換にも尽力していった…。

 古くからの教えを胸に秘めながら、積極的に新しいものを取り入れ、社会をよりよくしていった1人の偉人。彼の生涯には、元気と活力を失った日本社会を復興するためのヒントが秘められているのかもしれない。

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