子どもの「スマホが欲しい」への正しい答え方も。『親子のための言いかえ図鑑』で余計なひと言を分かり合えるセリフに変換!

出産・子育て

公開日:2022/9/2

よけいなひと言をわかりあえるセリフに変える親子のための言いかえ図鑑
よけいなひと言をわかりあえるセリフに変える親子のための言いかえ図鑑』(大野萌子/サンマーク出版)

 何気ない言葉や良かれと思って口にした言葉が、我が子にとってしこりとなってしまった…。親子間では、そんな悲しいすれ違いが生まれてしまうことが多々ある。だが、いつもの言葉を少し言いかえて我が子に届けると、心を傷つけ合わない親子関係が築けるかもしれない。

 累計50万部を突破した「言いかえ図鑑」シリーズの最新刊『よけいなひと言をわかりあえるセリフに変える親子のための言いかえ図鑑』(大野萌子/サンマーク出版)は、そうした気づきをもたらしてくれる1冊。

 本書では、公認心理師や産業カウンセラーとして活躍する著者が、良好な親子関係を築くための言葉のかけ方を8シーン92パターン紹介。幼児から小中学生、成人まで幅広い世代の「子ども」を対象にした言いかえが学べる。

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急いでいる時に「早くして」はNG!

 何かとバタバタしやすい朝は、学校へ行く準備がなかなかできない我が子に苛立ち、「早くして」という言葉をかけてしまうことも。けれど、著者いわく、子どもは大人ほど「時間」というものを意識していないため、「早く」「急いで」と言われても何をどう急げばいいのか分からないのだそう。

 また、「ちゃんとして」「ぐずぐずしないで」という言葉も口にしがちだが、それらは言った本人にしかイメージが分からない感覚用語。子どもは戸惑い、何をすればいいのか分からず不安になり、何をするにも親の顔色を気にして「指示待ち」をするようになってしまうのだとか。

 そして、「指示」や「要求」が漠然としていてよく分からない状況が続くと、段々どうでもよくなり、自分で考えなくなってしまうと著者は指摘。場合によっては「どうせ何をやっても何か言われるのだから…」と最初からあきらめたり、好き勝手なことをしたりするようになることもあるという。

 こうした事態を防ぐには、「早くして」を封印し、「お着替えしよう」「靴を履こう」など具体的な行動まで言葉にして伝えるのがポイントなのだとか。小学校低学年くらいまでは自力でできないことも多いため、親が手伝ってあげるとよいようだ。

 親子関係には、「このくらいで通じるだろう」という甘えが生じやすいが、互いが違う人間である限り、以心伝心は不可能。子どもに響きやすい伝え方を心がけ、親子共にいい1日のスタートを切ろう。

スマホやゲームが欲しい問題はどう対処する?

 スマホやゲームは、まだ我が子には早い気がする…。そう思い、子どもの「欲しい」に「まだ早いからダメ」という言葉を返し、親子関係がギクシャクしてしまうのは、現代社会の子育てあるあるだろう。

 だが、欲しい気持ちを一方的に抑圧せずに親子間で話し合いをしてみると、すれ違いを防ぐことができそうだ。

 著者いわく、こうした状況の時はまず、子どもに欲しい理由を聞くことが大切なのだそう。なぜなら、友達のLINEグループに入りたい、友人とオンラインゲームをしたいなど、子どもなりの事情があるかもしれないからだ。

 その上で、買わないと判断するならば、その理由を納得できるように伝え、「○歳になったら買おう」と解禁時期まで話し合うのがよいのだそう。

 一方、購入に至る場合は必ず本人と話し合い、「ルール決め」を。その際はルールを破った時の取り決めも明確にしておこう。

 デジタルネイティブ世代の現代っ子は、ゲームやスマホに対する欲求が強くなりがち。だからこそ、欲しい理由に耳を傾け、子どもが「分かってくれない」と感じない親子関係を築いていこう。

親側に気持ちの余裕がなくなった時は?

 親もひとりの人間。子育ての最中に苛立ちが募ると、「出ていくからね!」と口走りたくなってしまうこともあるが、それはNG。

子どもにとって母親は“絶対的な存在”で、もっとも頼っている精神的なよりどころ。その存在がいなくなることは、子どもにとっては恐怖でしかありません。

 そのため、本当に大変な時は「お母さんはもう限界です。今は冷静に話せません」と伝え、家事や子育てからしばらく離れさせてもらおうと著者はアドバイスをおくる。

 本当に家を飛び出さなければ心が壊れてしまう場合は、時間などを限定しひとりの時間を持つのもあり。その際は、帰宅後に子どもを安心させてあげることが大切だ。

 本書にはこうした親のメンタルを維持する言いかえも綴られており、子育てで心身をすり減らしている人の強い味方になってくれる。また、自分の親につい言ってしまう言葉の言いかえも紹介されており、我が子はもちろん、あらゆる親子関係を見つめ直すきっかけになるだろう。

 親子のコミュニケーションは、人生で最初にスタートする人との関わり。子どものまっさらな心にトゲが刺さらないよう、普段のひと言を振り返ってみてほしい。

文=古川諭香

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