娘が超能力者として才能開花!? やんちゃなシングルファーザーとツンデレ幼児の織り成すハートフルコメディ『ワンダーハニー』

アニメ・マンガ

2017/10/20

 

『ワンダーハニー』(白泉社)

 ツンデレ幼児が衝撃的にかわいいマンガ『ワンダーハニー』(白泉社)。『Wジュリエット』『今日も明日も。』『イデアの花』に次ぐ絵夢羅氏の最新長編作品だ。父親らしくないちょっとチャラ目のイケメンが、ひとり子育てに奮闘しているというだけでも萌えるのに、超能力やらお家騒動、その2つをつなぐ姿を見せない母(妻)の謎、とくればおもしろくないわけがない。不思議なわけあり父娘に、心つかまれること請け合いだ。

 2年前、妻と別れてから謎の超能力が発現してしまった娘のあかり(4歳)を立派に育てるべく、試行錯誤するのが父親であり主人公の有坂祐二(29歳)。職業はモデル兼脚本家。小さいうちは誰でも不思議な洞察力やシックスセンスを備えているものだよね~、なんて笑い話じゃすまないほど、ポルターガイストを引き起こしたり宙に浮いてしまったりと、めきめき能力を開花させていくあかり。無口で表情もほとんど変えない彼女の、内に秘めたる父への愛と豊かな思いやりが垣間見えると、もうそれだけで悶え死ぬほどかわいいのだが、それゆえ心配でならないのが親心。能力を知られないようあかりを守ろうと必死になるあまり、時に暴走してしまう祐二の成長が本作の読みどころだ。

 子育てって大変だ。子供かわいさに甘やかせばためにならないし、かといって、まわりを気にしすぎて叱りすぎても委縮させるだけ。祐二のように放任家庭で育てられると、子供にとって必要な愛の匙加減もわからなくなったりする。そんな彼に、隣人で腐れ縁、パパ友のアツシは諭す。「過剰な愛情表現は…どこかで子供を追い込む。お前 自分の親と同じように嫌われたいの?」。いい親ってなんだ、どこからどこまでが大丈夫な範囲なんだ、普通はみんなどうしてる? そんな祐二の懊悩は、子供が超能力者なんてものじゃなくても親ならば一度は直面するものだろう。もっといえば子供がいなくたって、一人でも大切に思う相手がいるなら、誰にとっても他人事ではない。わからないなりに、祐二はアツシという理解者、そして自分に全力で向き合ってくれるあかりの一挙手一投足から学んでいく。

 正解なんてどこにもない、“想う”ことの誠実なありかたを本作では掬い上げるように描いているのだ。さらにいえば成長するのは祐二だけではない。父親の愛情を一身にうけるあかりもまた、想いを返すすべをひとつずつ手に入れていく。ただ大好きと伝えるだけでなく、ときに間違いをおかしかける父を引き戻し、ときに自立した姿を見せ、父の愛情が伝わっていることを示す。2人の相互作用に彼らの周囲にいる人間も、心を揺り動かされる。

 祐二の弟・明三もそのひとり。1巻の終盤、ただ放置されていただけでなくかなり歪んだ家庭に祐二が育ったことがわかってくるが、明三もまた、愛情を見失ってしまった犠牲者だ。祐二にとってのあかりを見つけられなかった彼が、今後、2人と出会ったことでどのように変わっていくのか。そして彼の登場で明かされはじめるお家事情と、祐二が離婚した本当の理由。気になる謎を追いかけつつ、父娘の絆を見守っていきたい。

文=立花もも