結果を出すコクヨ社員が密かにやっている「片づけ」の極意!探す手間をはぶくだけで、生産性はアップする!

ビジネス

公開日:2017/11/20

『仕事がサクサクはかどる コクヨのシンプル整理術』

 「いかに業務の生産性を上げるか?」――これは多忙なビジネスパーソンにとっての命題だ。生産性を上げるためのビジネススキルは、多岐にわたって存在するが、今回は、最も基本となる「探す手間をはぶくコツ」を紹介したい。

 毎日5分、探しものをすると、1週間で30分の時間を失う。「モノを探す」という行為が何も生み出さないどころか、ムダな時間であることは明らかだ。生産性アップの足かせにもなっている。

 業務効率化に役立つツールの開発に定評のあるコクヨだが、その社員たちの片づけを見ると、実は、「見た目のキレイさ」をゴールにしていない。モノを探す手間を排除して、「仕事をラクにすること」「モチベーションを下げないこと」に注力している。ここでは、その4つの取り組みを紹介しよう。

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■小さなものは重ねない

 ふせんやクリップなど、今すぐ使いたいのに見つからなくてイライラすることがないだろうか? そんな人には、小さめ&浅いトレーを組み合わせて、定位置をキープする方法をオススメしたい。

 小さめの文具(指サック、ふせん、テープのり、消しゴム、ゼムクリップなど)を小さくて浅いトレーに入れてから、デスクの引き出しに収納する方法だ。引き出しのスペースを有効に使うために、2種類の大きさの四角いトレーをパズルのように組み合わせるのがコツだとか。そのとき、角が丸いデザインのトレーを使えば、適度な空間も生まれ、ギュウギュウに詰め込まれた印象にはならない。

 取り出しやすさが最優先なので、「モノを重ねない」のがルールだが、引き出しの奥のほうに収納する詰替用インクや予備の文具は、多少、重なってもOK(使用頻度が低いので)。

クリップ類は入れすぎない。取り出しやすい適量をキープする。

■穴はあけない、とじない

 一般的に「書類はバインダーにとじて管理する」という認識があるかもしれないが、「あえてバインダーにとじない」という方法がある。書類(A4サイズ)と図面(A3サイズ)を異なる方法で整理している社員は次のように語る。

 「A4サイズの書類のほうは『1プロジェクト=1クリヤーホルダー』に収めるのがルールです。入る分だけ保管して、入らなくなった分は捨てています。

 A3サイズの図面のほうは、いつでも確認や書き込みができるように最新のものを手元に残して、ほかは捨てます。その最新版もバインダーにとじたりせずに、特大のダブルクリップでワイルドに留めて保管しています」

 両方に共通しているのは、「穴をあけない」ということ。常に短い納期のプロジェクトを複数持っているそうで、ていねいにとじる時間もなければ、保管しようにも、職場で割り当てられた収納庫は狭すぎる……とのこと。かなり大胆な運用法だが、業務上、これまでに困ったことはなく、必要な書類も見つけやすくて満足しているそう。

マチがないファイルを使うのは、「大量に保管できない→定期的にスキャン→シュレッダー」という流れができやすいから。

厚みのある図面は、特大のダブルクリップで留める。

■ラベルにイラストを入れて視認性アップ

 オフィスの備品コーナーにおいても、モノを探す時間を短縮する工夫は重要だ。

 かつてはコクヨのオフィスでも、備品(文具や清掃用具など)の種類が多くて、備品コーナーが片づかず、使いにくかったそう。たしかに、備品が入っているパッケージやダンボールを、そのまま収納用具として使っている場合は、箱のサイズもバラバラで、中のモノが見えないので、どこに何があるかわかりにくい。

 そこで、中身を外箱から取り出して、小さいものと大きいものに分け、小さいものは「透明レターケース」、大きなものは「濃紺のファイルボックス」に統一して収納することで、見た目をスッキリさせてみたんだそう。

 さらに、ラベルには文字だけでなくイラストも入れて、内容物がひと目でわかる工夫も。パッと見ただけで自分の欲しいものが見つけられるようになり、探す必要がなくなったという。

透明のケースは、中のもの(実物)も見える。

形状の異なるものを何種類も収納しなくてはいけないときには、入れ物を統一して中身を隠してしまうのも一案。ペンと洗剤スプレーが並んで収納されているのに、見た目はスッキリ。

■定位置を決めた共有物を活用する

 探す手間を減らすには、モノの総量を減らすことも考えたい。

 コクヨのオフィスでは、共用文具置き場を活用して、使用頻度の低い文具は個人で所有しない。毎日使う文具は自席になければ不便だが、週に一度、月に一度といった頻度で使う文具は、共用のものを使用することで、自席のモノを減らせる。

 また、共用文具置き場では、置くものの形状(姿)を表示する「姿置き」を活用し、モノの定位置を厳守している。かつては、ゴチャッとまとめて文具が置かれ、そこから目的のものを探して……でも見つからない……ということが、よくあったとか。

 きちんと返さない人がいるために、行方不明の文具も多かったのだ。

 姿置きの場合は、戻さない人がいる場合、そのスペースだけが空いたままで目立つ。この運用に変えてから、ほとんどの人が忘れずにきちんと返してくれるようになったという。

手で簡単に切り取れるスポンジタイプのシート(ミシン目入り)を文具の形にカットして置き場所をつくる。

 今回紹介したコツはすべて、簡単にでき、誰にでもできることばかり。業種を問わずに生産性アップに貢献してくれるだろう。

 職場でも、ぜひ取り入れてみてはいかがだろうか?

文/川田 さと子

<プロフィール>
コクヨ株式会社
1905年創業。文具、事務用品を製造・販売するステーショナリー関連事業と、オフィス家具、公共家具の製造・販売、オフィス空間構築などを行うファニチャー関連事業、オフィス用品の通販とインテリア・生活雑貨の販売を行う通販・小売関連事業から成る。
オフィスをショールーム化した「ライブオフィス」や、業界でいち早く「フリーアドレス」を実施するなど、生産性をあげる取り組み提案や商品開発を多数展開。クリアファイルやペンケース、収納ラックやデスクにいたるまで、業務効率を高める商品は評価が高い。

<書籍リンク>
『仕事がサクサクはかどる コクヨのシンプル整理術』