ブラタモリでお正月! 成田山新勝寺から水戸まで

エンタメ

2018/1/1

『ブラタモリ』(NHK「ブラタモリ」制作班/KADOKAWA)

「初詣スペシャル」と題された『ブラタモリ』(NHK「ブラタモリ」制作班/KADOKAWA)は、実は何が嬉しいかと言えば付録に特製ステッカーが付いていることだ。『ブラタモリ』のアイコンでもあるタモさんのステッカーがなんと4種類も付いている。このステッカーが付いているだけで、何ともご利益がありそうだ。さすがはタモさんである。

 すでに10冊が発売されているシリーズの、本書は11冊めだ。「初詣スペシャル」である本書の行き先は成田山、目黒、そして浦安に水戸に香川と続く。番組の中で実際にタモさんが歩いた場所を写真付きで解説してくれている。ずっと見ている人にとってはおさらいできる内容でもあり、番組を見ていない人にも気軽に行ける旅のガイドブックとして楽しめる、という印象だ。それも、かなりマニアックなガイドブックなのだ。ん? いやいや、やはりちょっと違う。地域で考えれば誰もが普通に行けるわけだが、『ブラタモリ』は一般では入れないような場所にも入れたり非公開のものを見たりしているわけだから、ある意味気軽には行けない。普段は見ることのできない場所を見ることができるのが『ブラタモリ』の醍醐味だ。

 では、ざっくりと内容を紹介していこう。まずは「成田山」から。「成田山」と言えばやはり「新勝寺」。新勝寺と言えば歌舞伎役者である「初代市川團十郎」だ。跡取りがなかなか生まれないことを悩み、祈願して子を授かったというエピソードを知っている人は多いだろう。その「新勝寺」には毎年初詣で300万人もの人が訪れるというから驚く。寺院では1番の数なのだそうだ。初詣の参拝者がそこまで多いのにはいろいろと理由がある。そのひとつが鉄道というのも意外だ。明治30年代に「新勝寺」によって誘致された鉄道で、一気に参拝者が増加したというのだから凄い。他にも、発展の理由を地形に見るというところは『ブラタモリ』ならではの視点である。「新勝寺」でのロケは、同じNHKの『鶴瓶の家族に乾杯』とのコラボ。笑福亭鶴瓶が一緒に訪ね歩くのもまた見どころだ。

 そして、目黒は古くは参道だった商店街などを歩く。古地図や当時の絵図などもあって、その比較が何とも面白い。目黒の次はかつて漁港として栄えた浦安へと続く。浦安の知らない歴史なども出ていて興味深い。水戸は、教育やライフラインなど徳川光圀の功績をあげながら「水戸黄門」の人気の理由に迫っている。香川は、なぜ「さぬきうどん」が名産になったのかという謎をひもといていく。

 文章を読みながら同時に写真も追っていけるので、番組を見逃した人にもおすすめしたい本だ。その土地の人でなければ分からないような豆知識や名所情報などが書かれているのも見ていて楽しい。『ブラタモリ』は行政や関係者に協力を得ないと入れない場所は多いが、一般の人が訪れても十分楽しめる場所が満載だ。入れない場所は外から想像してみるのもまた楽しみ方ではないだろうか。

 冒頭で付録のステッカーに感動した話を書いたが、実は他にも個人的に感動ポイントがある。それは帯だ。通常書籍の帯はせいぜい本の3分の1程度なものだろう。しかし、本書の帯は3分の2ほども占めているのだ。幅の細い帯は読んでいる途中で外れてくることが多く個人的に苦手なのだが、これはいい。しかも、帯もまた非常に良い紙を使っている。いろいろな意味でぜいたくであり、見ていて楽しい書籍だ。

文=いしい