号泣必至の温かい親子の絆。累計300万部を超える『甘々と稲妻』がついに完結

マンガ・アニメ

2019/3/13

『甘々と稲妻』(雨隠ギド/講談社)

 2013年から連載をスタートし、瞬く間に人気作品となった『甘々と稲妻』(雨隠ギド/講談社)。単行本の累計発行部数は300万部を超え、2016年のテレビアニメ化も記憶に新しい。本稿でレビューする12巻は、約6年にわたり日本中で愛されてきた「親子の物語」の最終巻である。

 本作は妻に先立たれた高校教師の犬塚と、幼い娘であるつむぎが「食の楽しさ」を通じて、親子の絆を深める物語。教え子である飯田小鳥が教えてくれるレシピは、どれも普通の家庭料理。“特別でない食卓の幸せ”を知りながら、不器用な親子は少しずつ成長していく。

 最終巻では、つむぎは小学校2年生に成長。自身の誕生日会を目前に、体調を崩した犬塚を気遣っていた。なかなか良くならない不安から「体調悪くしないでよ!」と、きつい言葉も投げてしまう。犬塚の誕生日パーティーは、小鳥の協力もあって無事大成功。素直になったつむぎは、目に涙をためながら「具合悪いの見たくないし、具合悪くしないでっておこっちゃったし」「ずっとげんきでいて…」と呟くのであった。

 時は流れ、ラストの10ページではつむぎも中学生に。ふたりはこれまでと変わらず、一緒にキッチンに立ち、のんびりと料理をする。ふいに妻が亡くなったばかりの葬式後を回想する犬塚。「ひとりで心から幸せだって、あの子に教えてあげられるかわからない」と弱音を吐いた自分を思い出しながら、セーラー服姿のつむぎを優しく見つめる。その眼差しには、娘を想う父親の深く、温かな愛情が込められていた。

 本編はここまでであるが、最終巻には番外編も5話収録。番外編1話「ママとおとーさんとはじめまして」では、予定日が近づきソワソワする犬塚夫妻の様子や、名付けの様子が描かれている。

“――素晴らしい絆や未来を、この子自身の物語を紡いで行けますように”
“つむぎ つむぎちゃん うん、ぴったり”

 この会話を読んだあとに、もう一度本編最終話を読み返すと、つむぎの成長や親子の会話一つひとつに胸が熱くなる。誰かを愛おしい、守りたいと思う気持ちを再確認させてくれる『甘々と稲妻』。じんわりと心に灯がともるような感覚を味わいたい日に、読み返したい作品である。

文=山本杏奈