周囲を振り回す人と上手に付き合う方法は…プチ悪人になること? 自覚ない「大迷惑な人」に人生を台無しにされないためのヒント

ビジネス

公開日:2019/5/31

■振り回されないためのコツは「ヤッカイなやつ」と印象付けること

 もし「自分が絶対に正しい!」と妄信する人にとり憑かれた場合、どのような対処が有効なのだろうか。そのコツは「プチ悪人」になること。もっと具体的に表現すれば、彼らに「ヤッカイなやつ」と印象付けることだ。

 たとえば上司の指示でトラブって「言った、言わない」の水掛け論が起きたとき、相手を徹底的に攻撃することで自身の正しさを守る「否認型」は、常識を超えて相手を叩きのめす。破壊的な言動だけでなく、異動や左遷という手段を取ることもあるので、本当に気をつけなければならない。

 そこで重要になるのが、「○○さん、これからはこんな問題が起こらないようにメールでやり取りしましょうね」「お互いのため、第三者を交えて話すようにしましょうね」と、チクリと釘を刺すことだ。場合によってはICレコーダーを忍び込ませてもいい。

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 ただ泣き寝入りすると彼らの思うつぼなので、少しでもファイティングポーズを見せて、「ヤッカイなやつ」と思わせておくことが予防策になる。

 さらに「イジワルな視点」を持つことも効果的だ。被害者になりやすい人は「いい人」が多い。相手の都合のいいように他人を信じてしまいがちだ。

 だからこそ「なぜ上司はこんなに機嫌よく仕事を頼んだのだろう?」「なぜあの人はあんな発言をしたのだろう?」と、疑いの目線も持つようにしよう。

 もっといえば「つまりこの人は承認欲求の強い自己愛タイプか?」というように、相手を分析するように見つめてみよう。これを繰り返すと、「あー…またこの人キレ始めたよ…」というスルー力を身に着けたり、「この人はこういうタイプだろうから警戒だな」と自己防衛できたりする。

「自分が絶対に正しい!」と主張する人に振り回されて辛い人は、ぜひ「プチ悪人」になることで抵抗してほしい。

■他人を攻撃する人には“病識”が不足している

 本書をとても詳細にご紹介したように見えて、ここまでの内容は、実はほんの一部にすぎない。説明が長くなるので避けたが、人の思考回路の根本に切り込むような解説もある。

 たとえば、なぜ他人を振り回す人はそのような人格ができあがったのか。たとえば、なぜ自己評価の低い人ほど「できないかもしれませんけど…」などと保険をかけたがるのか。その理由も解き明かされている。

 心理カウンセラーや精神科医が書き下ろした本は世の中にいくつも出回っているが、これほど分かりやすくて読み応えのある1冊はなかなかないように感じる。

 というわけで記事の最後に、本書の恐ろしい記述を抜粋しよう。「自分が絶対に正しい!」と主張する人の中には、「私はこんな損害を受けた! だから私は被害者なんだ!」と思い込んで他人を攻撃する人がいる。たとえば悪質クレーマーが典型的だ。それを受けて片田先生はこのようにコメントしている。

精神医学では「自分は病気である」という自覚を“病識”と呼んでいますが、「自分は被害者なんだ」と思い込み、他人を攻撃する人にはこの病識が不足しています。

 だから「あなたは間違っていますよ」と諭そうとすればするほど、彼らはヒートアップする。世界中のどの言語を使用しても、どうにも説得できない。会話が成立しないからだ。

 …もはやなんとコメントすべきか。言葉が出ない。彼らは本当に、実に不愉快だ。

文=いのうえゆきひろ