もうムリ、誰か助けて。家庭崩壊の危機を救ってくれたのは神様と話せるなんと6歳の“うちのスピ娘”でした

マンガ

公開日:2019/10/10

『うちのスピ娘のパワーがちょっとすごくって…』(いろはママ/ハート出版)

「神様、お願い!」――この言葉を心の中で念じたり、口にしたことのある人は多いだろう。私たちは悲しいことや思い通りにならないことがあると半信半疑なまま、決して目には見えない“神様”という存在を心の支えにすることも多い。

 神様は、ミステリアスな存在。だが、『うちのスピ娘のパワーがちょっとすごくって…』(いろはママ/ハート出版)を手に取ると、もしかしたら本当にいるのかもしれない…とわくわくさせられてしまう。

 著者の娘・いろはちゃんは、6歳から7歳までの間に不思議な力を見せた。本作は、その約1年間を思い出としてまとめた実話マンガだ。

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 実は、いろはママさん自身ももともと、うっかりしているとたまに幽霊が見えるという微妙な霊感の持ち主。フルタイムで働きながら育児にヘトヘトの毎日。そこへ、なんとパパさんがうつ病を発症し、いろはちゃんが私立小学校を受験したいと言い出したため、神様の力を借りるべく一緒にお参りにいくようになった。すると、いろはちゃんが子どもとは思えない発言をたくさんするようになったため、いろはママさんは「この子は不思議な力を持っているのかもしれない」と思うようになったという。

 作中に描かれているいろはちゃんの発言は、どれもユニークで大人びている。6歳の女の子の目に映っていたであろうスピリチュアルな世界は、読者の好奇心を刺激するのだ。

■不思議がいっぱい! 6歳の娘が語った“神様の世界”

 スピリチュアルな力を持ったいろはちゃんは6歳らしからぬ言葉を口にするだけでなく、大人でさえも知らないような“神様の世界”を教えてくれる。

 中でも印象的なのが、生まれる前の話だ。スピリチュアル系の書籍には「ママを選んで生まれてきた」というセリフが描かれていることも多いものだが、いろはちゃんの場合ははじめからママを選んだわけではなく、神様によって強制退去させられ、この世に生まれたのだそう。

 綺麗ごとではなく、具体的に明かされる天国の話には妙なリアリティがあるのだ。

 そんないろはちゃんは日常の中で自分の要求や願いを叶えたい時に、持ち前の「スピ力(りょく)」を駆使して神様に甘えることもある。くじ引きをする時は神様にお願いして必ず欲しいものを当て、サイコロゲームで両親に負けそうになると神様に頼んで望み通りの目を出し、ぶっちぎりの1位に。

 いろはちゃんが見せる不思議な能力はおそらく、科学的には説明できない。しかし、その発言や指摘から大人が学ばされることは多く、ミステリアスで遠い神様という存在を間近に感じさせてもくれるのだ。

■人生の舵は神様ではなく、自分の手に

 苦しい経験をしたり、絶望に打ちひしがれたりすると人生の舵を神様にゆだねてしまいたくもなるだろう。誰かに決定権を託し、失敗した時の予防線を張れたら今よりもっと楽に生きられるような気もする。

 だが、人生は目には見えない存在や力に頼りすぎず、自分の手で切り開いていかねばならない。それが、本書のサブテーマであるように思う。これは約1年間、神様と交流する我が子を誰よりも近くで見てきたいろはママさんの気づきだ。神様がいてもいなくても、私たちは自分の人生や大切な家族の人生を自分の手で彩っていける。

 読後はきっと、日常の中でつい念じてしまう「神様お願い!」の一言に、これまでとは違った思いが入り混じるようにもなるはず。いろはちゃんのスピ力を通して、私たちは未来の築き方を学ぶ。

文=古川諭香