「好きを仕事にする」は、本当に正しいことなのか? 脳のバグに左右されない、適職選び

ビジネス

2020/1/16

『科学的な適職 ~4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方~』(鈴木祐/クロスメディア・パブリッシング)

「人生でもっとも後悔したことは?」

 コーネル大学の研究チームが老人たちに尋ねたところ、最も多かった答えは「キャリア選択への未練の言葉」だった――。

 私たちはなぜキャリアの選択を間違えるのだろうか。

 その理由は、およそ7割が「視野狭窄」によるという。どんなに優秀な人でも、視野狭窄が選択を誤らせるのは、人間の脳にはそもそも適職選びを間違った方向に導くバグが存在しているからだ。

『科学的な適職 ~4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方~』(鈴木祐/クロスメディア・パブリッシング)では、科学に基づいた「適職」を導き出すために「AWAKE」という考え方が提唱されている。「AWAKE」とは、本書の提唱する適職への戦略(ステップ1~5)の頭文字を取った言葉で、元来もっている(真に幸福な仕事への)「目覚め」という意味も込められている。書籍の構成も各ステップに合わせた5章構成でわかりやすい。

 各ステップの詳細は本書に譲るが、例としてステップ1の「幻想から覚める(Access the truth)」を見てみよう。

 やるべきは「仕事選びの場面で誰もがハマりがちな定番ミスを知っておくこと」だと著者・鈴木祐さんは述べる。「大罪」として7つの定番ミスが紹介されているのだが、つい私たちが適職選びの補助線に使おうとしてしまう言葉ばかりで驚かされる。例えば、「好きを仕事にする」のは良いことのように思える。しかし本書によれば、それは「バグ」かもしれない。

 なんと、オックスフォード大学が行った2016年の研究では、好きを仕事にした人よりも「仕事は仕事」と割り切って日常の業務に取り組んでいる人々の方が作業の上達が早く、すぐに仕事を辞めない傾向があったというのだ。

“多くの職業研究によれば、自分の好きなことを仕事にしようがしまいが最終的な幸福感は変わらない”と科学は証明している。

「給料の多さで選ぶ」はどうだろう。はたまた「性格テストで選ぶ」はどうか。「直感で選ぶ」は――。

 もしこれらが適職探しにおいてハマりがちな「思い込み」だとしたら?

 思い込みを解いて、科学に基づいた「適職」へ向かっていくにはどうしたらよいか。それを本書は具体的に提示している。

 1冊を通してさまざまな研究をベースにした「科学的な適職」を考えていくにつれ、自分がいかにバイアスにとらわれていたかがわかる。「これからどんな仕事をしていこう」と先行きに迷っている人や「このままでいいのだろうか」と現状に不安を感じる人におすすめだ。

文=えんどーこーた