配偶者が苦手な人も“大切な誰か”がいないという人も…精神科医が教える「パートナーとの向き合い方」

恋愛・結婚

2020/1/17

『夫婦・パートナー関係も それでいい。』(細川貂々、水島広子/創元社)

 さまざまな生き方が認められつつある現代では、多様化したパートナーの形に悩みを抱くことも多い。パートナーがいても寂しさを抱えていたり、おひとりさまで生きていくことに迷いを感じたりすることもあるはずだ。そんな生きづらさにそっと寄り添い、心を楽にしてくれるのが『夫婦・パートナー関係も それでいい。』(細川貂々、水島広子/創元社)だ。

 マンガ家の細川さんと精神科医の水島さんは2017年に刊行された『それでいい。』(創元社)からタッグを組み、『生きづらい毎日に それでいい。実践ノート』(創元社)や『やっぱり、それでいい。』(創元社)などを発刊。生きづらさを抱える人々に、人生を楽にするヒントをおくってきた。

 本作は“パートナー”がテーマ。ここでいうパートナーとは心に影響を与える、最も難しい人間関係。

 だが、水島さんが教えてくれる「対人関係療法」を取り入れていけば、関係は改善させられ、今よりもっと幸せになれる。

■幸せの第一歩は妻や夫が「重要な他者」だと認めること

「あなたにとって重要な他者は誰ですか?」

 そう聞かれた時、夫よりも友達や姉妹、母親など、普段悩みを聞いてくれる人が頭に浮かぶ既婚女性も多いのでは? だが、水島さんによれば「重要な他者」とは好きや嫌いの感情論ではなく、その人がいなくなることで自分の生活が大きく変わるかどうかで判断する必要があるという。それを踏まえると、夫婦は重要な他者だと言えるだろう。

 しかし、「夫婦」という関係性には“重さ”を感じてしまうことも…。そのワケは意外と奥深い。

 実は一緒に過ごす時間が少なく相手の知らない面も多いのに、社会的・家庭的に求められる役割が大きい夫婦関係。そんなユニークな絆で結ばれているからこそ夫婦関係は危うくなりやすく、関係性が悪くなると、うつ病などの病気に繋がることもあるという。

 では、一体どうすれば良好な関係を維持できるのか。その答えに辿りつくためには、まず、男女の違いを理解することが大切。

 男女の違いが分かると2人の間に溝ができにくくなり、コミュニケーションも増えるはず。コミュニケーションを交わすときは5つのポイントを意識してみてほしい。

 夫婦は他人だが、歩みより、寄り添い合うことはできるのだ。

 ちなみに、本作に掲載されている改善法を実践していけば、もし離婚という結論を選ぶことになっても負い目や後悔で苦しみにくくなる。「やるべきことはやった」という想いが、あなたを守ってくれるからだ。そんな気持ちになれたなら、次の人生へのスタートも明るく切れるだろう。

 幸せの第一歩は妻や夫が「重要な他者」だと認めることから始まるのだ。

■どんな生き方でも一人前

 本作の魅力はパートナーをテーマにした書籍でありながらも、パートナーがいない人や結婚をする気がない、失敗してしまった人の心に染みるアドバイスも記されているところにある。

「結婚をして子どもを持ってこそ一人前」という風潮はまだ根強い。親のプレッシャーや周囲が考える「普通」を押しつけられると、生き方に迷いが生じてしまうこともあるだろう。だが、結婚はあくまでもパートナー関係の1パターンにすぎず、「パートナー」という言葉は夫婦や恋人だけを指すものではないと水島さんは語る。

 どんな生き方をしていても、幸せであったり安定したパートナー関係が築けたりしていれば、それでいいのだ。

 世間の枠にとらわれず、自分にとってのパートナーを見つけ、大切にしていけると、現在の生き方を「これでいい」と肯定できるようになる。それは、“自分が自分のパートナーになれる”ということだ。

 人生に挫折した。自分は孤独だ。そう思い、ひとりぼっちな心を必死で抱えているあなたにこそ知ってほしい傷の癒し方が本作にはある。ひとりでも生きていけるこの時代だからこそ思い悩むことはたくさんあるが、心地よく生きられる関係性を他者や自分と育むことができていれば「それでいい」のだ。

文=古川諭香