最高視聴率41.6%を記録。軍人と医師の運命的な恋愛を描いた韓国ドラマ『太陽の末裔』

エンタメ

公開日:2020/12/12

太陽の末裔 Love Under The Sun
Licensed by Next Entertainment World © 2016 Descendants of the Sun SPC

 韓国ドラマのヒットメーカー・キム・ウンスク氏脚本の作品を語るときに、『太陽の末裔』を欠かすことはできないだろう。韓国で最高視聴率41.6%を記録した、韓国ドラマ史に新たな歴史をもたらしたドラマである。

 物語は、久しぶりの休暇を満喫していたユ・シジン(ソン・ジュンギ)が、不良少年とのアクシデントに巻き込まれたことから、少年が運ばれた病院で女医のカン・モヨン(ソン・ヘギョ)と出会うことから始まる。シジンを不良仲間と勘違いし冷たく接するモヨンだが、彼女に一目惚れをしたシジンはまるでそんなことを気にせぬそぶりで積極的にアプローチをする。しかし、軍人であるシジンは常に上からの命令が最優先。少しずつ距離は近づくものの、デートもままならない上に、彼が置かれている危険な立場にモヨンは不安を抱える。その上、シジンは任務により韓国から離れることになり、ふたりの短いロマンスは終止符を打たれてしまう。

 しかし、8カ月後、彼女は医療奉仕団として紛争地帯へと派遣されるのだが、そこはシジンが派遣されていた地帯であり、ふたりは運命的な再会をするのであった。

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太陽の末裔 Love Under The Sun
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 ドラマの舞台の大部分はこの紛争地帯での彼らの生活だ。ドラマの大枠としてはラブロマンスであるものの、そこで起こるのは国際政治や貧困、感染症、天災など我々が現実で直面している社会課題だ。そして、軍人であるシジンと医者であるモヨンはそれぞれ自分たちの任務を全うしようと全身全霊でぶつかっていく。

 キム・ウンスク氏といえば壮大なスケールで描かれるラブロマンスが特徴的だが、そのスケールに負けない舞台セットと演出がドラマの強度を作り出している。綺麗な海と青い空の下、人種や階級にとらわれず己の信条を全うする軍人や医師たちの姿がとにかく格好いい作品だ。

 また、番組序盤に登場した不良少年キム・ギボム(キム・ミンソク)や医療奉仕団のメンバーのひとりであるイ・チフン(オンユ/SHINee)の成長譚も泣けるものがある。厳しい環境のもとで葛藤しながらも前を向いて進んでいこうとする若者たちの群像劇としても十分に尺をさいて丁寧に描いているため、より作品が幅広く奥深いものになっている。

太陽の末裔 Love Under The Sun
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 もちろん、ラブロマンスのときめきだって盛りだくさんだ。とにかくシジンの吐くセリフが甘くて仕方ない。ユーモアのセンスも絶妙で、ふたりの恋の進展は、シリアスな場面が続く中で心が軽くなる瞬間だ。

 毎話40分ほどでありながら、さまざまなトピックと複雑に絡み合った人間模様が同時に進んでいくため、大変見ごたえのあるドラマだ。登場人物もみな魅力的で、大きく広げられた風呂敷が後半になるにしたがってきちんと畳まれていく快感もある。ただし、扱われている題材が題材なので、暴力シーンやグロテスクな場面も多々あり、そういったものが苦手な人は少し注意した方がいいかもしれない。

 単なるラブロマンスと侮るなかれ。ふたりの恋はもちろん、周囲を取り巻くさまざまな登場人物のドラマにも泣かされてしまう傑作である。

文=園田もなか