イケメン限定のカフェで“男”と偽り働く少女の行く末は? コン・ユを人気絶頂へと至らせた韓国ドラマの名作『コーヒープリンス1号店』

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公開日:2021/3/6

コーヒープリンス1号店
(C)MBC, iMBC All Rights Reserved.

 昨年10月、映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が公開された。主演のひとりとして出演していたコン・ユにとっては約3年ぶりの映画出演だ。コン・ユといえば、大ヒットドラマ『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』や映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』など幅広いジャンルで主演をつとめてきた。その甘いマスクから繰り出される豊かな表情やささやきは観るものを虜にしてしまう。

 そんな彼が一躍スターとして躍り出るきっかけとなったのは、2007年に放送されたドラマ『コーヒープリンス1号店』だ。イケメン限定のカフェで男性と偽りバイトをするウンチャン(ユン・ウネ)と、彼女の素性を知らないがゆえに男性を好きになってしまったのではないかと葛藤する店長のハンギョル(コン・ユ)のコミカルな恋愛模様が面白い作品である。ちなみに今年1月には『もう一度、二十歳~コーヒープリンス1号店編』というタイトルの特別番組が日本でも放送され、ドラマのキャストが13年ぶりに集結したことも話題になった。

コーヒープリンス1号店
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 物語は、亡くなった父の代わりに家計を支える主人公ウンチャンが、御曹司であり会社の所有するカフェの経営を任されたハンギョルに男だと思い込まれるところから始まる。人気がいまひとつのカフェの打開策として、ハンギョルはイケメン採用を考える。お金に困っていたウンチャンは、彼が自分のことを男だと思っているのをいいことにそのままバイトとして採用されてしまうのだった。

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 中性的な容姿をした少女が男の子のフリをして……というのは、たとえば漫画などではよく見る設定かもしれない。一方実写ドラマであれば、どうしても声の高さや身体のフォルムなどで性別を偽るのには無理が出てきてしまうものだ。しかし、そこはウンチャンを演じるユン・ウネの少年的な挙動やしゃべり方、身体のシルエットをぼかすようなダボっとした服などがうまく噛み合い、作品の世界観もあいまって大きな違和感を抱かずに観ることができる。

コーヒープリンス1号店
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 ウンチャンは同性であるはずなのに、なぜかときめいてしまう自分に戸惑うハンギョルの姿が面白い。コン・ユは代表作の『トッケビ』により落ち着いた頼りがいのある男性像のイメージがある人も多いかもしれないが、このドラマでは彼の新たな一面を見られるだろう。とにかく努力嫌いで子供っぽい御曹司を演じるコン・ユの姿は、今改めて観るとむしろなんだか新鮮だ。

コーヒープリンス1号店
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 終始、ウンチャンがいつ女とバレてしまうのか、というハラハラ感をもって物語は進む。その中で、個性豊かなバイトたちとの、カフェの立て直しも描かれる。テンポよく進むコメディ調のストーリーの中だからこそ、ウンチャンとハンギョルの関係が変化したときのときめきも大きい。

 少し昔のドラマなので、合う人合わない人は分かれてしまいそうだが、一度ハマれば虜になること間違いなしの王道ラブコメである。また、コン・ユを好きなら観ないわけにはいかない作品でもある。ちょっと頼りなくて愛らしい彼の姿が観たいならおすすめの作品だ。

文=園田もなか

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