ツアーナースの“見守る”看護から学ぶ、子どもの心の育て方。人気コミック第3弾はナース・先生・ママセレクション

マンガ

公開日:2021/6/4

不安や悩みを持つ子どもに必要なのは「寄り添う気持ち」

漫画家しながらツアーナースしています。 現役ナース・先生・ママの“推し”セレクション p82

漫画家しながらツアーナースしています。 現役ナース・先生・ママの“推し”セレクション p83

 子どもたちは、旅先という非日常な場所で、初対面のツアーナースが相手だからこそ、心を開いてくれることが多々あるそうです。子どもが出す小さなサインを明さんは逃しません。「これはちゃんと聞かないといけない話だ」「“よくある悩み”では済ませたくない」と、まだ未熟で繊細な子どもたちの胸中を少しでも理解しようと努めながら、優しく寄り添っていきます。

 ツアーナースとはいえ、薬は医者にしか処方できないこともあり、「仕事の大部分は見守ること」と明さんは語ります。無力さを感じながらも、ただそばにいること、寄り添うこと、声をかけることの大切さを、この仕事を通して知ってきたそうです。「ちょっと休んでみようか」「平気な時はみんなと頑張れる?」と明さんから声をかけられ、「先生がいたからこわくなかった」と安堵する子どもたちの表情が印象に残りました。

 病気やトラブルを抱える子どもたちにとって必要なのは、病気の対応やケガの手当てだけではなく、まずは、寄り添う気持ちなのかもしれません。

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子どもは強くて逞しい。しかし折れやすい心を守るのは周りの役目

 わずか数日間の宿泊行事の中で、子どもは驚くほど自立し、そして成長していきます。しかし、誰もがまだ未熟で傷つきやすい心を持っているのは事実。子どもたちに共通するのは、誰かに支えられたいという気持ちです。時には厳しい言葉も投げかけながら、自立をサポートして、子どものためにも折れやすい心を守っていくのは周りの役目なのだと感じました。

 本書は、子どもたちにもよく読まれているそうです。大勢の子どもたちが参加する宿泊行事では、お互いに理解し合い、助け合うことが不可欠。先生やツアーナースだけでなく、子ども同士の気持ちも通じ合えば、旅はもっと楽しいものになりそうですね。

 病気をひとつのテーマにしながらも堅苦しくなく、人はひとりひとり違うことや支え合うことの大事さ、そして命の大切さを教えてくれる本書。読み終わったあとは優しい気持ちになれます。宿泊行事だけではなく日常生活の中でも、子どもたちの心を育てるのに役立ちそうな学びがいっぱいです。

文=吉田あき

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