プチデトックスから始める、自分を見つめ直す“つながらない”生活【やってみた】

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公開日:2021/10/2

つながらない練習
『つながらない練習』(安藤美冬/PHP研究所)

 今の時代、簡単に“つながれる”ようになった。例えば、人間関係。SNSが普及して性別・年齢・場所を問わず、たくさんの友達・フォロワーなどだ。情報も、ネットニュースやYouTube、Twitterなどをザッピングしてすぐに手に入る。

 気づけば、スマホばかりに気を取られるようになった。SNSからの通知や気になっていた情報や動画を見逃すまいと、常に手の届く場所にスマホをスタンバイさせている。そして、ふと思う。「スマホから得られる人間関係や情報は本当に必要なものなのか?」と。

 そんなときに出会ったのが『つながらない練習』(安藤美冬/PHP研究所)という、スマホで得られる人間関係、情報、常識などの“つながり”を見直すことができる本だ。本書はただ、スマホ断ちのためのテクニックを教えるだけではない。かつてTwitterやFacebookでインフルエンサーとして活躍した安藤美冬氏が、余計な“つながり”を捨て、自分にとって大切な“つながり”を見つけるコツを紹介している。

 コツの中には、すぐに実践できるものもあれば、ゆっくりと自分と向き合うものなどさまざま。今回はすぐに実践できそうなコツの中から3つ、1週間実践してみたので、気になったものがあれば試してみてほしい。

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①時間を制限する

 基本中の基本、まずは使用する時間の制限を試みる。本書では就寝前・起床後の1時間、スマホを機内モードにセットする制限方法を紹介。そこからオフラインの時間を延ばすとのことだ。

 就寝前、YouTubeやゲームをやっていると気づけば2時間、3時間。ひどいときは窓の外が白んでいることもしばしばだ。

 1日目、さっそく禁断症状なのか布団の中で目をつぶっては、むくりと起きだしスマホに手を伸ばす。伸ばしただけなのでセーフ。それなら、とスマホを寝床から手が届かないテーブルへ。それから何だか落ち着かない時間もあったが無事(?)に就寝できた。

 1週間続けてみた結果、寝つきや睡眠の質が良くなったか正直わからない。しかし、動画やゲームに夢中になって寝る時間が不安定、ということはなくなった。起きる時間が定まってきたのは良い傾向だろう。

②情報を取捨選択する

 SNSや動画配信アプリは時間を消費する。通知が来たら開く、それから可愛いネコの動画や、美味しそうな料理の画像を見たら、つい見入ってしまう。料理を提供する店の情報を調べようものなら、平気で20~30分は奪われる。それが1週間続けば約2~3時間、1カ月なら約8~12時間。そう考えるとゾッとする。

 本書では、使っていない、あるいは無意味なアプリなどを削除するようアドバイス。ということで、積極的に利用していないSNS、ニュース、動画配信アプリを削除、さらに普段からやり取りする人以外のLINEの通知をOFFにした。

 1週間試してみたが、特段問題はない。むしろ、仕事をしているときや読書をしているときに余計な通知に振り回されなくなったことで若干ながら快適になったと言える。たまに自分からネコ動画や飯テロ画像を検索するが、誤差の範囲だろう。

③口コミやレビューを見ないで決める

 口コミやレビューを見ないで商品購入やお店を決めることで、自分の「面白い」「美味しい」と思う感覚が磨かれるという。確かに某サイトの口コミ評価が高いラーメン屋に行ったときも「これ美味しい? まぁ、みんなが美味しいって言うのだから美味しいのだろう」と自分を納得させたことがあるような。それなら自分の感覚で決めて、「不味いなぁ」と笑い話にした方が何かと面白そうだ。

 なかなか試すことができなかったのだが、ここで、何も調べずランチの店を探してみた。事前に調べての決め打ちではなかったため、いろいろなお店の看板を吟味すること数分。今まで目に入らなかったお店を発見する。

 味は可もなく不可もなく。再訪はそのときの気分次第といったところか。ただ、店を決め打ちしなかった分、広い視野で店探しができた気がする。人は意識をしないものは目に映らない生き物だ。こういった宝探し感覚も新たな“つながり”の第一歩なのだろう。

 周囲が悪いわけではない。なのに、今の生活に閉塞感のようなものを抱いている。そんな漠然とした悩みがある人は少なくないはずだ。自分と人間関係、自分と情報、自分と社会、自分と○○。さまざまな“つながり”を見つめ直すことで、即解決!とまではいかなくても、見え方が変わるきっかけになる。その一助に本書はなってくれるだろう。

文=冴島友貴

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