未来は今の延長線上にある! 誰かのせいにするのではなく、「自分の意思」を持とう/努力の習慣化

ビジネス

公開日:2021/10/3

「どう見られるか」は意識しない

言葉は通じなくても「行動」で伝わる

「相手にどう見られるか」ということよりも、「自分がどう相手に見せたいか」を意識して行動しています。受け身的な「見られる」よりも、主体的に「見せる」感覚。これは、海外でのプレーを経験してから考えるようになったことです。

 そのように行動するようになった理由は明確で、海外に初めて移籍した2017年当時、言葉が全く通じなかったからです。

 もちろん、バレーボールをプレーすることが僕たち選手の大前提ですから、プレーに必要な最低限のことはなんとか通じます。でも、少し踏み込んで、「自分のプレーエリアはこのくらいで、こういうボールが好きで、ここのエリアは僕のボールじゃないと思っている……」ということを伝えるには、言葉よりも身体で表すほうが早かったのです。

 もうひとつ大切にしていることがあります。チームメイトやコーチングスタッフとは基本的に英語で、時々ドイツ語やポーランド語で話していましたが、ある程度スムーズに話が通じるようになってからも、嬉しい時は喜び、悔しい時は悔しがって感情を伝えるということです。

 自分はこういう人間であり、こういうタイプのプレーヤーだと理解してもらいます。もしそれがオーバーアクションだったとしても、感情は身体で表していくのがベスト。そうすることで、相手がこちらに合わせてくれることも多々ありました。

 また、ドイツもポーランドもそうでしたが、海外だと実力主義が徹底しているのです。たとえチームメイトでも、日が浅いうちは「こいつどういうプレーをするんだろう」とずっと思われていましたが、結果を出せばまわりは一気に認めてくれます。

 わかりやすいくらいの実力主義であり、結果主義。

 一度結果が出てしまえば、要求しなくてもサポートしてくれるようになりますし、状況的に厳しい時でも、相手からコミュニケーションを取ってきてどうしようか話し合ってくれるようになります。

 新人であろうと遠慮はいらないので、要求を出すこと、言葉が通じなければ身体でしてほしいことを示してみてください。

まず自分を変えてから、相手も変える

 わかってもらうのを待つのではなく、少々乱暴な言い方をすればわからせるということ。

 それは毎日の練習でももちろんですが、特に試合での表現が重要になります。バレーボールという競技はチームプレーなので、いろいろな人間が理解し合うことで変化が出てくるものです。こちらの思っていることをとにかく伝える、伝われば合わせてくれるようになる。逆もまた然りだというのが、僕の感覚です。

 海外に出て、日本語が通じないという状況に初めて遭遇しました。日本人同士であればある程度話をすることでニュアンスを理解し合えることが多いですよね。特にバレーボール選手同士なら、言葉は少しでもわかり合える。

 でも、海外に行くとその細かい感覚的なことをわかり合うための、言葉という最大の手段がカットされてしまいます。

 大まかなこと以外で、伝えたいことをきちんと伝えるためには態度で示し、理解してもらって、相手を変えるしかありませんでした。自分を少し変えること、態度で示すことに照れてしまい時間をかけていたら、チームの一員になることはかなわなかったでしょう。

 僕はもともとシャイな性格なのですが、不思議と海外で自分を表現することは全く恥ずかしくありませんでした。今でも比較的感情などを態度に出しませんし、静かなタイプだと思いますが、バレーボールの時は出せるのだと、この経験で気づかされました。

「評価」を人にゆだねない

未来は「人にアドバイスされるもの」ではない

「未来のことは未来の自分にしかわからない」

 そう思っていないと僕は頑張れません。これは、自分で決定する、意思を持って努力するという話とつながりますが、「今の延長線上に未来はある」と思っています。

 時に軌道修正し、時にマイナーチェンジをするけれど、自分なりの理想や目標に近づいていく感覚は、他人が感じ取れるものではありませんし、他人から評価されることでもありませんよね。「もっとこうするべき」とアドバイスを受けたり、「ああ、こうだったよな」と自分で振り返って後悔したりすることもありますが、受け止めすぎるのは違うと思います。

 自分で決めたことに向かって努力するのも、それを評価するのも自分です。他人から僕の未来や先々のことを勝手に予想されても……という感じです。だから、あなたの未来を予想したり、勝手なアドバイスをしたりしてくる人の声は上手に聞き流してください。

 好きな人も多いですが、占いやおみくじも個人的にはあまり信じていません。

 エンターテインメントのひとつなのかもしれませんが、面白さを見出せないタイプです。仮に「オリンピックで金メダルを取れますよ」と言われても、「うーん……」という感じです。自分が今取り組んでいることに責任を取れるのは自分だけですから。

「他人任せ」で、望んだ未来はこない

 自分で決める、自分で責任を取る、意思を持って努力をする。それらをしていても、必ず結果につながるわけではありません。

 ただ、絶対に望んだ結果に近づくことはできると信じています。必ず何かを得られるわけではないけれど、可能性を生むのが自らチャレンジするということ。逆に、他人任せでスタートしていると、可能性は激減するでしょう。

 東京オリンピックで目標にしているメダルにたどりつかないかもしれませんが、「メダルを取る!」と言い続け、そこを目指して励んでいます。そのプロセスの中でつかめるものはありますし、メダルではない何か別のものをつかめるかもしれない。それは今の自分にはわからなくて、未来の自分にしかわからないのです。

 自分で決定してスタートしていないと、望んだ未来はないと思います。自分で決めなかったために、現在も未来も何もないのが一番もったいない。先のことなんて誰にもわかりませんが、方向性を決めることは自分でできるのです。

<第3回に続く>

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