「最終提案ゲーム」の実験結果でわかる「感情」と「合理性」のバランスの難しさ/いまさら聞けない「数字の読み方」超基本

ビジネス

更新日:2022/7/21

♦「感情」と「合理性」のバランスの難しさ

 この問題は「最終提案ゲーム」と呼ばれ、さまざまなバリエーションで実験されています。金額を多くしたり、ゲームの参加者を変えて、男女差を見たり国際比較をしたり。どのように設定しても、提案額の平均値は45%(つまり450円)前後に収まります。

 そして、金額を提示される側(A君側)の立場でも考えてもらうと、半数の人は、30%以下の金額を提案されると「拒否権」を行使するという結果が出ています。30%以下でも、拒否しなければいくらかもらえるのに、実際には拒否する人が出てくるのです。

 その意味では、300円から500円くらいの額を提示するというのも、受け取る側の感情を考えての答えなので、これはこれで意味のある答えです。

 しかし問題の文面からは、渡す相手の素性は一切わかりませんので、300円から500円という金額自体に根拠はありません。なんとなくこのくらいだろう、という判断です。受け取る側も、なんとなく損な感じがするから断るというのは合理的な判断とはいえません。

数字が苦手な人のためのいまさら聞けない「数字の読み方」超基本

 この実験結果が示しているのは、「私たちはいかに感情で判断しているか」ということです。日ごろ自分のことを「論理的に考え、合理的な選択をしている」と考えている人であっても、なかなか「1円」という答えをイメージすることはできないのではないでしょうか。

 個人の生活のみならず、組織においても、「合理性」と「感情」の両面から意思決定がなされています。感情のみで意思決定をしていてはマズイですし、合理性のみで決めるのも、必ずしも正しいことではないのです。

POINT 感情を抜きにして「合理的に考えると?」という視点を持つ。

<第3回に続く>


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