会社の会議はなぜ長い? その理由は数字を使わずに議論をしているから/いまさら聞けない「数字の読み方」超基本

ビジネス

更新日:2022/7/21

♦数字のない議論をしていないか?

 以前、私のクライアント会社の会議で、ホームページのリニューアルについての検討が行なわれていました。

 ホームページがわかりにくいせいで、コールセンターへの問い合わせの電話が多く、対応に時間が取られているという問題があったのです。

「顧客ユーザビリティを追求したホームページに変えよう」

 かかるコストは数百万円、期間も4カ月ほどの少し大きなプロジェクトですが、それによって顧客満足度を上げることができます。

 コールセンターへの問い合わせが減れば、その分の人件費を減らして、もっと利益の上がる仕事に労力をまわすこともできます。

 かくして、無事にホームページがリニューアルされました。この決定と実行にはとくに問題はないように見えました。

 

 しかし、違った問題が起きてしまいました。

 ホームページのリニューアルの件とはまったく別のプロジェクトについて会議をしていたときのことです。

「コールセンターのコストを削減するにはどうしたらいいだろうか」

「電話がかかってくる数を減らす方法を考えましょう」

「そういえば、ホームページのリニューアルで問い合わせの電話が減るはずだったじゃないか。あれはどうなった」

「さぁ……?」

 会議に参加している全員が、首を傾げています。

「多少は減ったんじゃないでしょうか」

 結果の検証を、誰もしていなかったのです。

 

 ここで、人件費がいくら減ったとか、対応時間が何時間減ったとか、電話が何本減ったという数字を示せる人がいれば、この会議もすぐに進展したでしょう。きちんとデータを取っていれば、今回のプロジェクトに生かして、新たな予測をすることも楽になったはずです。

 ですが、残念ながらこの会議では誰も定量的な話をできません。

 やはり、会議は終わらないのでした。

 

♦プロジェクトは「検証」しなければ無意味

 プロジェクトを実行まではするけれど、あとは知らない、ということが多いのはこの会社に限ったことではありません。ものすごくもったいないことです。

 1つのプロジェクトを実行したら、それを次に生かさなければ、成長していくことができません。「会議が終わらない」どころではないのです。

 次に生かすには、計画の段階で目標の数字を出しておくことと、結果を検証する人を決めておくことが必要です。

 いまの会議の例でいえば、ホームページをリニューアルする計画をしたときに、「問い合わせの電話を月に100件から30件に減らす」というように具体的な数字で目標を決めます。同時に、リニューアル後、実際にどのくらい電話が減ったのかを確認する担当者を決めておく必要があるのです。

POINT 会議の議論は、「定量的分析」から「定性的意見」が正しい順序。

<第4回に続く>


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