【こんな明るいヒロイン見たことない⁉】笑って焦れて、ときめきが止まらない。冤罪から始まる逆転ロマンスファンタジー『冤罪悪女は騎士様から逃げられない!』【書評】
公開日:2026/3/31

気になる。どこまでも前向きな彼女が、この過酷な運命をどう乗り越えていくのか。早く疑いが晴れて、思いっきり甘々な展開が訪れてほしい。そんな願いを胸に読み進めていたら、いつの間にか、夢中で物語を追いかけていた。
花畑で向かい合う男女。王道のラブストーリーを思い描いて読み進めると大きく裏切られる⁉
そんなウェブトゥーンが、『冤罪悪女は騎士様から逃げられない!』(シナリオ:有野幸、ネーム:りえこ、作画:ヒノミナ/LINEマンガ)。冤罪から始まる、純粋で不器用な愛と逆転のロマンスファンタジーだ。この物語には、笑いもときめきも緊張感も詰まっていて、どこに連れていかれるか分からない。気づけば、主人公の行く末を見届けずにはいられなくなってしまうのだ。
王道のラブストーリーを思い描いて読み始めれば、その予想は大きく裏切られる。冒頭からコミカルなシーンも多く、面白さは全開だ。1話目、まず目に飛び込んでくるのは、花畑で向かい合う男女の姿だ。

「リサ愛してる 俺には君しかいない」
「魔女退治の任務が終わったら結婚しよう」
そんな甘い言葉をささやく男性・オーランドの言葉に、女性・リサはうっとりした表情。ところが、オーランドが口づけをしようとするたび、リサは顔をさっと背ける。どうしてリサはオーランドを拒むのか。それは、彼が退治しようとしている魔女が、リサ自身だから。しかも、その因縁の発端は、なんと100年前にまでさかのぼるのだという。

100年前、人里離れた山奥で弟子とともに慎ましく暮らしていた魔女のリサは、身に覚えのない罪で騎士達に襲撃され、魔法によって石にされてしまった。だが、100年後、石化は奇跡的に解ける。そうして、ひょんなことからオーランドと出会い、ふたりは次第に惹かれ合っていった。しかし、オーランドは、リサを襲撃した「エンデ家」の末裔であり、復活した魔女を退治する宿命を負っていた。自分こそがその魔女だと知られまいとするリサの運命は……!?
こんなヒロイン見たことない⁉ とにかくポジティブ。お姫様抱っこにテンション爆上げ!
この作品の魅力は、それだけではない。ぐっと惹かれるのが、主人公・リサの明るさだ。リサはとにかくポジティブ。「石化前は極力 人と関わらないようにしてきたけど それで死んだら寂しすぎるって痛感したわ」「魔力が強いのさえバレなければ恋だってできるかも……!」――魔法が解けて自由の身になった途端、ロマンスを求めるリサの姿に思わず吹き出してしまうし、オーランドの言動ひとつひとつに対する反応も絶妙。「きゃああああ!! お姫様抱っこなんて生まれてこの方されたことがないのに……!」「こっこれは……! イチャイチャカップルメリーゴーランドじゃない!?」オーランドにメロメロ、その一挙手一投足にテンション爆上げのリサの姿がなんとも愛おしく、こちらまでリサのことが好きになってしまう。

とはいえ、リサの現状を思えば、事態はかなり深刻だ。いつオーランドに、自分が討伐対象の魔女だと知られてもおかしくはない。けれど、当のオーランドはそんな事実に気づくどころか、リサにどんどん惹かれていく。エンデ家の跡取りとして期待を背負い、ずっと周囲に求められる姿を演じてきた彼にとって、「同い年だし堅苦しいのはナシにしない?」と屈託なく接してくるリサとの時間は、かけがえのないものだ。リサだって、誠実なオーランドに強く惹かれている。だからこそ、この恋を守るためにも、真実を明かすわけにはいかないのだが……。
「この人は…私が好きになっちゃいけない人だったんだ でも… 今更なかったことになんてできないよ…!」

リサの明るさにあれほど笑顔にさせられていたのに、彼女の切ない台詞に触れれば、ギュッと胸が締めつけられる。100年前、どうしてリサは冤罪をかけられたのか。いつかふたりが結ばれる日は来るのか。クスッと笑わされて、焦らされて、ときめかされて、気づけば目が離せない。甘さだけでは終わらない、もどかしさと愛おしさに満ちたロマンスファンタジーを、ぜひあなたも見届けてほしい。
文=アサトーミナミ
