ふたりなら乗り越えられると信じたいけど… 龍神と少女が育む運命の恋に迫る試練『龍神と許嫁の赤い花印』コミカライズ最新刊【書評】

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PR 公開日:2026/4/14

 あの人となら、どんな試練も乗り越えられる。そう心から信じられるような運命の恋に、誰しも一度は憧れるのではないだろうか。

 そんなときめきを感じさせてくれるのが『龍神と許嫁の赤い花印』(クレハ/スターツ出版)。『鬼の花嫁』で知られるクレハ氏による和風シンデレラストーリーを、中野まや花氏がコミカライズした作品だ。原作小説ならではの魅力はもちろんのこと、コミカライズ版では、細部まで描きこまれた世界観が、物語の切なさと華やぎをより一層際立たせる。『鬼の花嫁』の実写映画化でクレハ作品への関心が高まる今、第4巻が刊行された『龍神と許嫁の赤い花印』(中野まや花:作画、クレハ:原作/スターツ出版)のコミカライズ版にも、ぜひ注目したい。

夢の中で出会ったのは、運命の人だった――龍神との甘く切ない和風シンデレラストーリー

 主人公は、生まれた時から手の甲に赤い椿の形のあざをもつ少女・ミト。天界に住まう龍神と、その伴侶となる人間を引き合わせるために作られた龍花の町から遠く離れた山間の村に生まれた彼女は、村人たちから「忌み子」と呼ばれ、虐げられ続けている。なぜそんな仕打ちを受けなければならないのか。それは、ミトのあざが本来なら龍神の伴侶の証として祝福されるべきものでありながら、この村では凶兆の証とみなされているからだ。

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 そんなミトの心の支えは、夢の中の時間。銀色の髪に紫紺の瞳、この世のものとは思えないほど美しい顔立ちをした波琉(ハル)という男と過ごす時間がいつだって彼女を支えてきた。ふたりの間にはなぜか分厚い透明な壁が立ちはだかるが、彼らはそれをものともせず、少しずつ心を通わせていき、やがてミトは、夢の中で出会った波琉に恋心を抱くようになる。実は波琉の正体は、天界の龍神たちの頂点に君臨する4人の龍神のひとり、「紫紺の王」と呼ばれる存在。ミトの思いが波琉に届いた時、彼は夢でしか会えない彼女を現実世界でも探し始める(第1巻)。そして波琉は、理不尽な暮らしを強いられていたミトを救い出す。ふたりは龍花の町へと移り住み、ミトは念願だった高校にも通い始めるのだ(第2巻・第3巻)。

襲いかかる堕ち神の脅威と、明かされる100年前の出来事

 思い合うことの美しさ、愛し合うことの満ち足りた気持ちを描く第4巻では、大きな試練がふたりを襲う。穏やかな日々を過ごしていたふたりのもとに、ミトを狙う魔の手が迫りくるのだ。その正体は、天帝によって天界を追放された元龍神、堕ち神。波琉は、同じく龍神のひとりである煌理(おうり)を呼び寄せる。煌理は、ミトが生まれた星奈の一族を龍花の町から追放した張本人であり、堕ち神の一件にも深い因縁を抱えているらしい。そこで明かされるのは、星奈の一族に起きた100年前の出来事、そしてミトの先祖にまつわる秘密だ。

 堕ち神にミトが狙われているのは自分の責任だと語る煌理に対し、ミトはまっすぐに言い切る。「波琉がいれば 何も怖くなんてありません!!」。けれど、堕ち神の脅威が迫るにつれ、ミトはひとつだけ本当に怖いことがあることに気づいてしまう――。

甘い恋と過酷な運命、その行方から目が離せない

 どんな局面に置かれても、波琉とミトの絆は決して揺るがない。互いが互いを思い、まっすぐに愛し合うふたりの姿は、見ているこちらまで頬がゆるんでしまうほど甘く、尊い。言葉を交わすたび、相手を思って行動するたび、ふたりの間に積み重ねられてきた深い信頼と愛情が伝わってきて、思わずニヤニヤしてしまう。

 けれど、そんな甘い幸福に浸ってばかりはいられない。堕ち神の存在が物語に落とす影はあまりにも不気味で、静かに、しかし確実に、ふたりの日常を脅かしていく。ミトはどうなってしまうのか。波琉は愛する人を最後まで守り抜くことができるのか。ふたりならきっと大丈夫だと信じたい。にもかかわらず、次の瞬間にはその確信さえも打ち砕かれてしまうのではないかという不安が、この第4巻にはつきまとう。

 時空を超えた和風ラブファンタジーは、いままさに波乱の真っ只中。恋の甘さに心をほどかれながらも、容赦なく迫る危機に息をのむ。……ああ、続きが気になってたまらない。運命の恋を待ち受ける試練と、それでもなお互いの手を離さず立ち向かおうとするふたりの行く末を、ぜひ最後まで見届けてほしい。

文=アサトーミナミ

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