「美味しいものを食べる」を追求した王道すぎるグルメマンガ。カレー、ハンバーガー、ラーメン――親しみやすい料理を出版社勤務女子が豪快に食べる『全力めし』【書評】
PR 公開日:2026/4/23

人気ジャンルのひとつとなったグルメマンガ。実際のお店を紹介したり、レシピがついていたり……近年そのバリエーションは多岐にわたる。そんな中で、「美味しいものを食べる」というグルメマンガの一番肝心な魅力を追求しているのが『全力めし アリサはよく読みよく食べる』(相原瑛人/講談社)だ。
本作の主人公・南雲アリサはとある出版社で働く校閲者。校閲者とは、出版前の“ゲラ”と呼ばれる印刷物に間違いがないかをチェックする仕事。誤字脱字はもちろん、時代小説だったら時代背景、推理小説だったらトリック……多様なジャンルの専門的な間違いがないかもチェック。マンガの場合はセリフだけでなく絵も確認し、その作品のこれまでの物語も踏まえてチェックする。実は私も後半については初めて知ったのだが、かなり労力がいる仕事のようだ。その上ここで見逃されたミスはそのまま世に出てしまう可能性があるため、責任重大な仕事でもある。
そんな日々いろいろなジャンルの読み物に目を通すアリサの、頭の隅に一度浮かんだら消えないのが食べ物のこと。食べ物に関する記述が気になると、いてもたってもいられない。ランチに、仕事帰りに、その食べ物を食べに行くのがアリサのルーティンである。




この食べっぷりの良さが、本作の一番の魅力。カレーで汗だくになっても、大口を開けないと食べられないハンバーガーが出てきても、アリサは一切ひるまない。自分と食べ物と一対一の関係を崩さず、美味しく食べきることに専念する。そんな見た目はかわいいのに豪快な様子からは、セクシーさも漂う。




登場する料理がラーメン、カレー、ハンバーガー……と親しみやすいのも魅力。アリサ同様、読んでいて「食べたい!」となった時にすぐ食べられる(実際、筆者も読み終えてすぐにラーメンを食べました)。
また本作は、お仕事マンガとしても共感必至。一人だけ残業した夜の、疲れた体に沁みるビール。途方もない仕事に押しつぶされそうになった時に食べる、少し甘めのランチ……。次に自分が同じ立場になったら真似してみようと思える組み合わせばかりだ。食をモチベーションとして仕事にひたむきに向き合うアリサの眩しい姿に、こちらのやる気も湧いてくる。
個人的に特に好きなのが6話。アリサの見落としにより、とある漫画のセリフが間違ったまま出版されてしまう。作者も周囲も慰めてくれるけど、自分で自分のことが許せないアリサ。気持ちに区切りをつけるために食べに行ったものとは……? こんな時だからこそしっかり食べて、自分のミスと向き合うアリサにほれぼれした。
そして終盤には衝撃の展開が待っている。全力で食べるアリサの姿は、職場でどんな嵐を巻き起こすのか? アリサの活躍と食に対する貪欲さ、彼女に訪れるまさかの展開は、是非本書を手に取って確認してほしい。
文=原智香
