御曹司と結ばれた、現代のシンデレラは幸せになれるのか? 『君はシンデレラ』ついに完結!【書評】
PR 公開日:2026/4/17

事故で両親を亡くし継父母と継姉に虐げられていた主人公が、御曹司に見初められ財閥の妻に……。そんなタイトル通りのシンデレラストーリー『君はシンデレラ』(いちかわ有花:作画、葉月りゅう:原作/スターツ出版)の最終巻となる3巻が発売された。

自ら現状を変えようとするヒロインの芯の強さ
本作の魅力は主人公・深春の芯の強さ。特に印象的なのが御曹司・黒凪奏飛から結婚を申し込まれるシーンだ。困難な状況から抜け出す救いの手を差し伸べられたとあれば、無条件に喜びそうなもの。しかし深春は「黒凪の嫁も上流階級としてのふるまいなど求められるものが多く、忍耐力がないとこなせない」という言葉を聞いて「今までみたいに自分の意思と関係なく生きることになるなら、私にとってはどこに行ったって同じ」と一度結婚を断る。自由を得られないならどこにいても同じ。それならば自分で現状から抜け出す道を探すという強さに惹かれる。


結婚後も奏飛の言葉通り困難が続く。社交の場で会う人々の中に夫婦について面と向かって卑下する人も。しかし深春はそこで黙ることなく、毅然とした態度で「今の言葉撤回してください」と意見する。階級社会の中でもひるむことなく生きる深春と奏飛の言葉にスカッとする。



孤独なふたりが出会って運命が動き出す
本作を読み進めていくとわかるのは、ふたりは“深春がシンデレラで奏飛が王子様”という一方的な関係ではなく、お互いがお互いにとって運命の相手であるということだ。作品の中で奏飛は深春を苦しい環境から救い出してくれた王子様で、深春はシンデレラなのは明白。しかし奏飛にとっての深春もまた、誰も愛せず、孤独な状況にいた自分を救ってくれた王子様的な存在、つまり運命の相手なのだ。読み進める度にそれがひしひしと伝わってくる1、2巻は、読んでいるこちらも幸せに包まれるストーリー。特に深春が奏飛に向ける愛情の深さが心に沁みてくる。
第3巻では深春の妊娠が判明。ふたりの幸せは最高潮に達する。一方妊娠の報告を偶然聞いた奏飛の弟の妻・香苗は暗い表情に。「一緒に帰りましょう」と誘われた帰り道、香苗から不妊症であることを明かされて――。


第3巻は、幸せになったふたりがその愛を周囲に広げていく物語。最終巻でも幾度となく波乱が訪れるが、お互いを信頼しているふたりはどんな時も揺らがない。それどころか登場人物すべてを赦し包み込むような深春と奏飛の愛情深さに感動を覚えた。さらに一族がよりよい未来に向かっていくためにも奏飛は心を砕いていく。その頼もしさは1巻登場時の冷酷そうだった奏飛からは想像もつかないほど。深春を愛し、愛されることで大きく成長した奏飛の姿にも注目だ。
また深春と奏飛が運命の相手であることをさらに決定づける驚きの展開も。最後まで読んだら、ぜひ1巻を読み直してみてほしい。
文=原智香
