暑い日の散歩、犬は肉球をヤケドしてる⁉ 獣医が監修、ペットが迷惑している飼い主の誤解をまとめたイラスト解説本【書評】

文芸・カルチャー

公開日:2026/6/1

いきものたちの言い分 その愛、正直メーワクです。
いきものたちの言い分 その愛、正直メーワクです。(田向健一:監修、こざき ゆう:著/KADOKAWA)

「うちの子はこうすると喜ぶんですよ」「うちの子はダメって言ったらわかるんです」

 イヌやネコ、ウサギなどのいきものを飼っている人は、毎日顔を合わせて大切に育てているのだからペットの気持ちは手に取るようにわかる、と思うかもしれない。しかし、本当にそうだろうか。あなたがよかれと思ってしていることが、実はいきものにとっていやなことだったり、その命を危険にさらしてしまうことだったりしたら……。

 ドキッとした人は、100種以上の動物を診てきた“珍獣ドクター”の田向健一先生の科学的な知識と経験をもとにした『いきものたちの言い分 その愛、正直メーワクです。』(田向健一:監修、こざき ゆう:著/KADOKAWA)を読んでみてほしい。物言わぬいきものたちの「言い分」をユーモアたっぷりにまとめた一冊で、「知らなかった」では済まない、愛情ゆえのすれちがいについて、楽しく学べる。

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思い込みで、メーワク。それ、いきもののストレス要因かも?

 
 本書はイラストをふんだんに用いたフルカラーの本で、以下の5章から構成される。

・1章:思い込みで、メーワク。
・2章:やりすぎで、シンドイ。
・3章:わかってほしい、野生のサガ。
・4章:キズつきやすい、わたしたち。
・5章:これがわたしのジョーシキです。

 いきものたちが一人称でそれぞれの言い分を主張しており、その口調も含めて面白い。1章(思い込みで、メーワク。)には「わたしはいわずもがなウサギです。『イヌ』を求めないでください」というウサギの言い分が書かれている。

 筆者はウサギを飼ったことはないが、SNSで「うさんぽ」なるワードを見たことがあり、ウサギは散歩を好むと思い込んでいた。しかし、散歩がストレス解消どころか外からの刺激によってストレス要因になるとは知らなかった。さらに、ウサギはニンジン好きと思われているが、オレンジの部分は胃腸に負担をかけるので、葉っぱを与えるのがベターだというのも驚きだ。イメージや思い込みは恐ろしい。

 ところで、筆者の両親はインスタントコーヒーが苦手なのだが、毎年お歳暮にインスタントコーヒーの詰め合わせを届けてくれる親戚がいる。「うちでは飲まない」と言えないでいるうちに、「ずいぶん喜んでくれているようだから、きっとコーヒーが好きなんだな。来年もまたコーヒーにしよう」と思われてしまったようなのだ。

 その親戚はよかれと思って贈ってくれているのだが、両親は毎年インスタントコーヒーの処分に困っている。いきものもニンゲンも思い込みによるすれちがいは誰も幸せにしない、という好例だろう。

動物の気持ちを「自分」に当てはめず、それぞれの習性を知ろう

 2章(やりすぎで、シンドイ。)には、ニンゲンの「やりすぎ」についての言い分がまとめられている。洗いすぎ、世話しすぎ、あわてすぎ、食べさせすぎ……。動物の気持ちを「自分」に当てはめているのかもしれないが、過ぎたるは猶及ばざるが如しだ。

 3章(わかってほしい、野生のサガ。)には、動物の本能に根差した言い分がまとめられている。ネコは爪をとがずにいられないし、高い所に登らずにはいられない。イヌは肉球をヤケドしても散歩をやめられないし、ハムスターは生きる原動力として回し車を動かし続けずにはいられないのだ。

 こういった習性は言って聞かせたところで変わるものではない。だからこそ、私たちニンゲンはそうした習性を学び、彼らの住環境や生活サイクルに配慮すべきだろう。それでも思うようにいかない場合もあるが、動物と暮らす以上、受け入れるしかない。そのペットを飼うことを選んだのは、自分たちなのだから。

『いきものたちの言い分 その愛、正直メーワクです。』は2026年5月27日に発売されている。ご紹介したイヌ・ネコなど以外にも、小鳥・リス・ヘビ・トカゲ・タランチュラ(!)など人気のエキゾチックペットたちの言い分も紹介。

 筆者も自宅でネコを3匹飼っているので、愛情ゆえにペットが喜ぶと思って行動する飼い主の気持ちはよくわかる。しかし、よかれと思ってしていることが、動物の負担になってはいないだろうか。本書を通じて、いきものたちが安心して暮らせるヒントを知り、どちらも幸せな生活を送ってほしい。

文=ayan

いきものたちの言い分 その愛、正直メーワクです。 (角川書店単行本)

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