幼なじみへの“決死の告白”の返事は「ダンゴムシと同じくらい好き」!? 恋する気持ちが愛おしい『100年の恋もさめなくて』【書評】

マンガ

公開日:2026/5/20

100年の恋もさめなくて
100年の恋もさめなくて(チキン/白泉社)

 ああ、尊い。これぞ少女漫画だ。恋をしている女の子って、なんて健気で、なんて可愛いのだろう。相手の言動に勝手に期待して、勝手に傷ついて、それでも諦められないくらい好きで。冷静でいられない、ちょっぴりおバカなところがまた愛らしい。幼馴染への恋心を描いた作品は数多くあるけれど、こんなにも女の子を応援したくなる作品は他にはない。

 そういう少女漫画の醍醐味が、ぎゅっと詰まった作品――それが、『100年の恋もさめなくて』(チキン/白泉社)。幼なじみの男女の、じれったくて愛おしいラブコメディだ。

決死の告白に返ってきたのは「ダンゴムシと同じくらい好き!」

 主人公の陽芽は、幼なじみのマキに恋心を抱く女の子。幼稚園のころ、勇気を振りしぼって彼に思いを伝えたが、返ってきたのは、「おれも…ダンゴムシと同じくらい好き!」という予想外の言葉だった。幼いマキに悪気はなかったのだろうが、陽芽からすれば大敗北だ。それからはや10年。16歳になった陽芽は、今も彼のことが大好きだ。幼いころの雪辱を果たすべく、相手から告白されることを目指して日々努力を重ねているが、当のマキは、昔と何も変わらない。無自覚な天然たらしぶりで、今日も陽芽を振り回してばかりいる。

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恋にまっすぐな陽芽が、とにかく可愛い

 まず、陽芽のまっすぐさがいい。ここまで好感度の高いヒロインはなかなかいないだろう。陽芽は恋のこととなると猪突猛進。マキが色白な子が好きと言えば色白を目指し、料理上手な子が好きと言えば手作りのお弁当を持っていき、最近ではマキが「パーマ女子がかわいい」と言っていたからパーマをかけた、まさに恋する乙女なのだ。

 けれども、彼はパーマ姿の陽芽を「ラーメンみたい」と言うような、かなり天然な男の子。勢いあまって陽芽が、「マキがパーマ女子かわいいって言うから巻いたのに」と口にしても、当の本人は地面に落ちていた“●ケモンカード”に夢中で、その発言を聞き逃す。計算高い男の子よりも、こういう無邪気すぎる男の子のほうが、もしかしたら攻略は難しいかもしれない。それでも、陽芽はめげることはない。常に前向きに、どうしたら彼を振り向かせられるかを考え続ける陽芽の姿は、なんて可愛いのだろう。そして、私たちは、陽芽とマキのすれ違いに思わず吹き出さずにはいられない。ずっとこのふたりのやりとりを見ていたくなってしまう。

笑えるだけじゃない、無自覚なたらしに胸キュン

 ただし、この漫画は笑わせてくるだけではない。ときに、マキの言動に私たちまでキュンキュンさせられるのだ。彼は本当に人たらし。陽芽をガッカリさせるような言動を取ったあとに、サラリと胸に刺さる一言を言う。パーマを「ラーメンみたい」と言ったあとには、陽芽の髪に指を通しながら「似合っているって言いたかったんだけどな」なんてつぶやくし、部活の試合の応援に行けば「俺だけ見てて」なんて言う。それも、作画が美しく、うっとりとするような表情でそんな言葉を口にするから、陽芽だけでなく、読み手のこちらまでドキッとしてしまう。マキのちょっとズレているけれど、気持ちはピュアでまっすぐなところが憎めず、読み進めるほど、その魅力に惹き込まれてしまう。

じれったいのに、ずっと見ていたくなるふたり

 どちらも「好き」に対してまっすぐなのに、お互いがお互いを意識しているはずなのに、なぜかすれ違ってばかりのふたり。一生懸命頑張っているけど、どこか噛み合わないところがすごく可愛く、そして、とにかくじれったい。ああ、陽芽の思いはいつ届くのか。早く思いが通じ合ってほしいと思う反面、いつまでも、このじれったい距離に胸を焦がしていたいとも感じさせられる。クスクス笑えるのに、胸キュンが止まらない。恋する気持ちのまぶしさを思い出させてくれる、そんな少女漫画を、ぜひともあなたにも手にとってほしい。

文=アサトーミナミ

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