自分を妊娠させた相手の名前を言わない12歳の娘。その理由は「真実を話せば母親を傷つけるから」【著者インタビュー】
公開日:2026/6/11

※この記事は若年妊娠など、センシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。
10代の娘の望まない妊娠が発覚したら、どんな行動に出るだろうか…?
漫画『娘が12歳で妊娠しました 逃げた男を絶対に許さない』(ゆっぺ/KADOKAWA)は、望まない妊娠をした中学1年生の少女とその家族の物語だ。ある日突然、まだ小学生のような幼さが残る12歳の娘・のりこの妊娠が発覚。母親の麗美は相手が誰なのかを聞き出そうとするが、のりこは怯えた様子で口を閉ざしたまま。麗美は夫や学校の協力も得られない中、相手捜しに奔走。だが、中絶手術が可能な時期は刻一刻と迫り——。
実話をもとに描かれたセミフィクションだけに、母娘の苦悩が生々しく伝わる本作。つらい出来事が次々と押し寄せる中で、母娘が深い絆を取り戻していくところにも注目だ。この漫画を手がけた漫画家のゆっぺさんに、本作で伝えたかった想いなどを聞いた。
——母親の麗美は公にしすぎず、まずは養護教諭に相談をしたかったのに、のりこの妊娠は早々に学校の教職員に共有されたうえ、校長は事を荒立てたくないような発言をしていました。学校が味方についてくれないのは、母親の麗美にとってつらいことだったと思います。
ゆっぺさん(以下、ゆっぺ):漫画制作の過程で色々な方に話を伺ったのですが、教職の現場で働いている方に、学校だけではなく、教育委員会が生徒の妊娠を隠し通したケースもあったと聞き、驚きました。
——無責任な人たちに翻弄されながら、今できることを探そうとする母親の麗美に力強さを感じました。もしゆっぺさんが同じ状況にいたとしたら、娘のためにどんな行動を取ったと思いますか?
ゆっぺ:「どう対応するべきなのか」ではなく、「娘自身がどう対応してほしいのか」を何より優先して考えていたと思います。
——若年妊娠という事実を前に、麗美とのりこは母娘の絆を深めていくようでした。ふたりの関係をどのように表現したいと思いましたか?
ゆっぺ:のりこは誰にも触れられたくない、自分でも直視できないような深い傷を抱えながら、「真実を話せば母親を傷つける」「自分を否定される」という大きな壁にぶつかっています。その壁を壊せるのは、どんなことがあっても見捨てないでいてくれる家族だけではないでしょうか。
のりこは、信頼する母親と痛みを共有することで、ひとりで背負っていた十字架をふたりで分かち合うようになります。痛みを経て再生へと向かう親子関係を表現したいと考えていました。
取材・文=吉田あき
