ぼくたちのガタロー☆マンが、「うらしま太郎」をハッピーエンドに大改変! 三三七拍子に乗せておくる『真☆うらしま太郎』【書評】
PR 公開日:2026/6/5

昔話には、「え、なんでこうなった?」と思うものが少なくない。よくよく考えるとどうして地球に来たのかわからない『かぐや姫』、こぶの取り外しが怖すぎる『こぶとりじいさん』もなかなかのものだが、結末の理不尽さで言えば『うらしま太郎』が圧勝だろう。カメを助けるという徳を積んだのに、なぜ白髪の老人にならなければならないのか。竜宮城で多少いい思いをしたかもしれないが、あまりにも代償が大きすぎるのではないか。
そんな長年のモヤモヤをスカッと晴らしてくれるのが、我らがガタロー☆マンだ。ご存じの方も多いと思うが、ガタロー☆マンとは漫☆画太郎先生が絵本を描く時の名義。これまでにも数々の作品で、善良な子どもたちに生きる道を説いてきた。


このたび刊行された『ガタロー☆マン笑劇場 真☆うらしま太郎』(集英社)は、そんな絵本界の新星がおくるハッピーな一冊。「こんな理不尽な話を多感な幼少期に聞かされて育ったら 善悪の判断がつかない社会不適合者になってしまうやないかーーーーッ!!!」という魂の叫びとともに、ガタロー☆マン流『うらしま太郎』がフルカラーで幕を開ける。掲載誌が『最強ジャンプ』だったせいか、太郎のキャラクターデザインは少年マンガ風。絵本ではあるが、あのババア(?)も登場する安定の漫☆画太郎クオリティなので安心して手に取ってほしい。
しかもこの絵本、三三七拍子のリズムに乗せて語られるのが面白いところ。例えばうらしま太郎がいじめられるカメを助けに入る場面では、「カメさんを!!! いじめるな!!! イジメはぜったいゆるさない!!!」という調子。ガタロー☆マンは「笑本(えほん)おかしばなし」シリーズ(誠文堂新光社)でも三三七拍子の絵本に挑戦しているが、その流れを汲む作品と言える。


このリズム、声に出して読むと圧倒的に気持ちいい。助けたカメをもてなす場面では、「ちんとんしゃん♪ ちんとんしゃん♪ てれつく♪てれつく♪ちりとてちん♪」とババアが軽やかに踊り出し、読んでいるこちらもてれつくてれつくと踊りたくなる。子どもが読んでも、読み聞かせても、盛り上がること間違いなし。大人ひとりでも、絶対に音読したほうが楽しい。できれば大声で読んでほしいし、むしろ声に出さないのはもったいない。ラストにはお約束の展開が待っているので、「なるほどですね」と笑顔で読み終えることができる。


さらに、巻末にはおまけマンガも2編収録されている。ほのぼのマンガ「おじいちゃんの誕生日」、心についてのエッセイスト アダルト♡マン先生がちびっ子のお悩みに答えるセラピーマンガ、どちらも圧巻の画力で画太郎ワールドが繰り広げられ、読後は「いやー、いいものを見た」という国宝級の満足感を味わえる。よかったね! ぜひ本棚に一冊常備し、友達に正気を疑われてほしい。
文=野本由起
