「金の密輸を通して、誰かのための人生から自由になれた」。映画『マジカル・シークレット・ツアー』主演 有村架純さんの思いとは?【インタビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2026/6/27

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年7月号からの転載です。

「3人の女性たちが、丸ごと愛おしくて」

 間もなく公開される主演映画『マジカル・シークレット・ツアー』への思いを、有村さんはこう語る。有村さんが演じた和歌子は、ごく普通の主婦で2児の母。しかし、夫の横領と解雇で突如借金返済を迫られ、偶然出会った非正規雇用の研究員・清恵と、貯金ゼロの妊婦・麻由と共に、金の密輸に手を染める。

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「物語の芯にあるのは、和歌子たち3人の人生です。社会に押しつぶされそうになりながら、それでもそこから抜け出そうと必死にもがく彼女たち。一生懸命になればなるほどちょっと滑稽に見えるところも含めて、たまらなく魅力的なんです」

 犯罪は決して肯定できませんけれど、と有村さんは続ける。

「和歌子を演じながら、大きな解放感を感じていました。和歌子はずっと、自分が納得できる人生を送っていなかったと思うんです。親を、夫をがっかりさせないために、いろんなことをのみ込んで生きてきた。つねに誰かのための人生だったんです。でも金の密輸を通して、そういう過去から自由になれた。もっと自分を大切にしていい、自分の人生を生きていいと思えたんじゃないでしょうか」

 和歌子たちが自分の人生を取り戻す“旅”の舞台となったのはシンガポール。同地で約1週間の大規模ロケを敢行した。

「現地のスタッフの皆さんは本当に親切で、撮影に対する熱量も非常に高く、たくさん助けていただきました。黒木(華)さんや南(沙良)さん、みんなでラクサを食べに行ったのもいい思い出です。黒木さんが街を散策したお土産にマグネットを買ってきてくださって。今も我が家の冷蔵庫に貼っています」

 自分が蔑ろにされる生活、ストレスに満ちた職場、貧困……和歌子たち3人を苛む社会的、経済的苦境は、状況に差はあっても、多くの人が経験しているだろう。

「日本中、世界中に、前を向いて懸命に生きようとしている方がたくさんいると思います。そんな中で私が役者としてできるのは、エンターテインメントをお届けすることなのだと、改めて痛感しています。この作品を観て笑ったり、気持ちがすっきりする時間になれば嬉しいです。少しでも皆さんの背中を押すような励ましになれば、本作を作った意味があると感じます」

取材・文:松井美緒 写真:TOWA
ヘアメイク:新山いずみ スタイリング:瀬川結美子

ありむら・かすみ●1993年、兵庫県生まれ。『ビリギャル』(2015年)で日本アカデミー賞優秀主演女優賞・新人俳優賞、『花束みたいな恋をした』(21年)で同最優秀主演女優賞を受賞。近年の出演作に、大河ドラマ『どうする家康』、映画『ちひろさん』『ブラックショーマン』、日曜劇場『GIFT』など。映画『さとこはいつも』 が9/18に公開予定。

© 2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会

映画『マジカル・シークレット・ツアー
監督:天野千尋 脚本:天野千尋、熊⾕まどか
出演:有村架純、黒木 華、南 沙良、塩野瑛久、青木 柚、斎藤 工
配給:アスミック・エース
6月19日(金)全国公開

2017年、中部国際空港で主婦たちが金の密輸で逮捕された、実際の事件に着想を得たオリジナルストーリー。平穏な日常を送る2児の母・和歌子は、夫が横領で会社を解雇されたことを突然知らされる。借金を背負い、行きついたのはシンガポールでの闇バイト、金の密輸だった。そこで出会ったのは、奨学金600万円の返済に追われる非正規雇用の研究員・清恵と、毒親と暮らす未婚の妊婦・麻由。バイトの成功に味をしめた3人は、独力で金の密輸を始めることに。彼女たちは仲間としての絆を深め、生まれて初めて、お金と自由、そして自分らしく生きる喜びを得る。シンガポールでの大規模ロケも敢行し、周りに流されて生きてきた女性たちが、犯罪に手を染めてでも自分の手で人生を取り戻していく。違法なのに痛快なエンタテインメント。

ダ・ヴィンチ 2026年7月号 [雑誌]

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