夜更かしは簡単なのに早起きがつらい理由とは。20年以上研究する専門家が教える、プチ不調をなくす体内時計の整え方【書評】

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PR 公開日:2026/7/8

知って得する、体内時計のはなし
知って得する、体内時計のはなし(中村孝博/中央公論新社)

「最近、疲れやすい」「よく眠れない」などのプチ不調は、生活習慣の乱れが原因だと思われやすい。だが、実はそうした不調の背景には“体内時計の乱れ”が関係していることも多い。『知って得する、体内時計のはなし』(中村孝博/中央公論新社)は、体内時計という視点から自分の健康を見つめ直せる一冊だ。

 著者は20年以上、時間生物学の研究を続けてきた専門家。本書では、体内時計のメカニズムや特徴を分かりやすく解説。体内時計の乱れによって現れる不調を紹介しつつ、向き合い方を教えている。

体内時計は細菌にもある!

 ヒトの体は地球の自転に合わせて、1日の中で大きく状態を変えている。私たちの体温や心拍、ホルモン分泌、代謝などは一定ではない。体内で「今は活動に適した時間か」「休息に適した時間か」を判断し、24時間のリズムに沿って変動している。

 そうした生体リズムと外界のリズムを繋いでいるのが、体内時計だ。体内時計は単に時間を測るだけでなく、次に起こることを予測して体の状態を整えるための仕組みでもある。

 驚くべきことに、シアノバクテリアという細菌にも体内時計はあるそうだ。体内時計は高度な脳があって初めて可能になる機能ではなく、生命が生命であるために必要な機能のひとつだと著者は話す。

 だから、体内時計が乱れると、心身に不調が現れる。例えば、私たちが月曜日の朝につらさを感じるのにも体内時計が深く関係していると著者は話す。週末の夜更かしや朝寝坊が体内時計を狂わせるのだ。

 著者いわく、近年の研究では体内時計が乱れると、糖尿病や高血圧、うつ病などといった疾患リスクが高まることも明らかになっているとのこと。しかし、現代社会ではどうしても社会の時計と体内時計がズレやすい。夜に強い光を浴びると、体内時計は「昼だ」と勘違いしてリズムを後ろへずらしてしまう。

 こうした時代の中で、私たちはどうやって体内時計を守ればいいのだろうか。

“光”を味方にして体内時計を整える

 そのカギを握るのが、“光”だ。体内時計は、光の影響を受けることで戻ったり進んだりする。著者いわく、光は「いつ浴びるのか」によって効果が変わるそうだ。例えば、夜明け近くから早朝に浴びた光は体内時計を早める。一方、夜更かしした時のように夜の前半に浴びた光は、体内時計を遅らせるという。

 なお、体内時計を遅らせる光の影響は比較的すぐ現れるが、体内時計を進める場合は変化が安定するまでに数日かかることが多いそう。夜更かしは簡単なのに早起きがつらいのは、こうした体内時計の性質があるからだ。

 このようなメカニズムや原則を頭に入れておくと、自分の体内時計がどの方向にズレているかを予測できるようになると著者は話す。光は使い方次第で強力な味方になる。重要な仕事や行事の前には、浴び方を意識したいものだ。

朝食は体内時計のリセット役に!

 体内時計を整えるには、食事のアプローチも欠かせない。そこで役立つのが、食べるタイミングや食事のリズムに着目した「時間栄養学」という観点である。

 体内時計を整える上で意識したいのが、朝食を摂ること。朝食は単なる栄養補給にとどまらず、1日が始まったことを体に伝える合図にもなる。朝食によって血糖値やインスリン分泌が変化すると、それが合図となり、肝臓や腸などが持つ「末梢時計」という固有の時計が一斉に動き始めるからだ。朝食は、体内時計のリセット役なのである。

 ただし、どんな朝食でもいいわけではない。「何をどう組み合わせて食べるか」をよく考えることも大切だ。朝食にエネルギー源となる炭水化物を摂ることは大切だが、たんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラルといった栄養素がバランスよく組み合わさって初めて、脳は効率よく働く。

 朝ごはんは食べるか否かで悩みがちだが、自分のパフォーマンスを最大限に引き出すには栄養バランスの整った食事をしっかり摂ることが大切なのだ。

 本書には他にも、サマータイムが体に与える影響や体内時計が乱れがちな交替制勤務とどう向き合うかなど、知っていると役立つ体内時計の知識がたくさん記されている。本書で、自分の1日を見つめ直し、体内リズムを守るきっかけを得てほしい。

文=古川諭香

知って得する、体内時計のはなし (中公新書ラクレ)

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