「好きかも」が「好き」に変わる過程が尊い! 省エネ余裕系カッコイイ“先輩”×カワイイに全力投球“後輩”の青春BL【書評】
PR 公開日:2026/8/15

『フミヤ先輩と、好きバレ済みの僕。』(椿ゆず/スターツ出版)は、青春のドキドキを甘酸っぱく、時に焦れったく堪能できるBL小説だ。その待望のコミカライズ版『フミヤ先輩と、好きバレ済みの僕。』(小井湖イコ:作画、椿ゆず:原作/スターツ出版)が発売された。
カフェで一目惚れした店員は、同じ高校の先輩で…
竹内幸郎(通称さっちゃん)は、自他ともに「カワイイ」と認める高1男子。ある時、カフェのカッコイイ店員に一目惚れし、思いがけず「あなたの恋愛対象に入りますか?」と、声を掛けてしまう。


相手からも「入りますね」と、好反応。浮かれるさっちゃん。しかもそのカフェ店員――貞文哉(さだ・ふみや)は同じ高校の先輩であった。だがしかし、ここで問題発生! 高校で再会した彼は、カフェの時とは打って変わり、あまりにもビジュアルに無頓着な姿だったのだ。

「容姿」というものを価値観として大切にしているさっちゃんにとって、フミヤ先輩の「テキトー」な見た目はショックだった。しかし、先輩の「内面」を知るうちに、徐々に「好き」という感情が大きくなっていき……。
キャラクターの“ギャップ”の魅力
本作はキャラクターの持つ「ギャップ」が非常に魅力的な物語だ。
さっちゃんは可憐な見た目だが、「カワイイ」に対して努力しているし、全力投球だ。自分の「芯」もあり、行動力も度胸もある。そんなところがカッコよくさえある。
フミヤ先輩にも、同じくギャップがある。カフェではイケメンだが、学校では外見を気にしない省エネ系男子。クールなのかと思いきや家族想いの一面があったり、余裕たっぷりにさっちゃんをからかっているかと思いきや、(さっちゃんの友人に)ちょっと嫉妬してしまうような等身大の高校生の一面もあったり。
ページをめくるごとに、さっちゃんとフミヤ先輩の内面の「多様さ」に気づかされ、いつの間にか彼らの恋に夢中になってしまう読者も多いのではないだろうか。
一目惚れの「好きバレ」状態から、本当の恋へ
ふたりの物語は「本当の恋人になるために、お互いの内面をもっと知りたい」という状態から始まる。この関係も本作の大いなる魅力の一つだ。

言わばふたりは「お互いそれなりに好意がある」ことが前提の関係。だからこそ、微笑ましくも甘々なやり取りを最初から読めるというのも、非常に大きな胸キュンポイントである。

しかし、表面的なキュンキュンだけで終わらないのが本作の凄さ。ある意味ナンパという「軽い」始まりだったからこそ、ふたりが「本気」の恋に落ちていく過程には、胸キュンを超えた吸引力があった。読み進めるほどに、ふたりの恋を応援したくなるはずだ。

原作はドラマ化もした『みなと商事コインランドリー』の著者、椿ゆずさんということで、ストーリー性も抜群。コミカライズでは、その繊細な感情の移り変わりを、小井湖イコさんの美麗作画が全面的に支えていると感じた(さっちゃんのカワイさ、フミヤ先輩のカッコよさが、浴びるように堪能できるとは……!)
「好きバレ」から始まる本気の恋。原作小説とともに、ぜひ楽しんでほしい。
文=雨野裾
