麻酔銃で撃たれた回数がすごい…『名探偵コナン』毛利小五郎が魅せる“本当はカッコいい” 5つのエピソード

マンガ

公開日:2017/5/13

 『名探偵コナン』のお約束といえば、アガサ博士の発明品。なかでも頻繁に使われている麻酔銃、そのターゲットにもっとも多く選ばれているのがご存じ毛利小五郎だ。既刊92巻(2017年5月現在)でいったい何十回眠らされているのか、と小五郎の体調も心配になってもくるが、実はそんな彼も、ほんのたま~~~に、カッコいい見せ場を作っていることをご存じだろうか。今回は、数少ないながらも“本当はカッコいい”小五郎の名シーンをご紹介しよう。

1.小五郎の同窓会(9巻)

 

 5年ぶりに、栃木の温泉旅館「弁慶」に集まった米花大学柔道部同期生たち。メンバーである小五郎と一緒に蘭とコナンも訪れたその場所で、事件は起こった。かつてのマドンナ・由美が、部屋で片手に拳銃を握ったまま頭を打ちぬかれ、死んでいるのが発見されたのだ。すぐに自殺に見せかけた他殺だと判明するが、もし外部犯なら、自殺に見せかける必要はない。いつものだらしない笑みはなりをひそめ、一人になった小五郎は拳で壁を殴りつけるのだ。

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「犯人はオレの親友の誰かなんだよ!! 必ずオレが暴いてやる!! 絶対にな!!」

 その気迫に打たれたコナンは、麻酔銃をひっこめ、小五郎に推理の場を譲る。仲間だから穏便に済ませたい、ではなく、仲間だからこそ許せないと怒りをあらわにした小五郎の義侠心が感じられるエピソードだ。

2.三つの謀(17巻)

 蘭の画策で、伊豆のビーチで出くわした小五郎と別居中の妻・英理。そのとき、一人の女性が海でおぼれ、しかもウミヘビに噛まれてしまう。事故に見せかけたその殺人未遂事件。解決するのはいつもどおりコナンで、小五郎は眠っているだけだが、実はその裏で小五郎は、英理のとある“事件”を解決してしまっていた。

 英理の不自然な行動にはやくから気づき、妻のために黙って行動していた小五郎。ふだんの観察眼はザルだが、どんなに喧嘩しても、険悪な雰囲気になっても、英理の異変は些細なことさえ見逃さないのだ。愛情の深さが存分にうかがえるエピソード……なのだが、事件のときもそれくらい注意深ければ眠らずとも探偵として輝けるだろうに、やはりちょっぴり、残念な男である。

3.小五郎の選択(37巻)

 推理ドラマの冒頭で、前説として出演することになった小五郎。舞台となる人里離れた洋館で、女主人役を務める女優・雨城瑠璃は、偶然にも小五郎の中学時代の同級生だった。ところがその撮影中に主演俳優が殺されてしまい、瑠璃が第一発見者に。いつもどおりすぐに真相にたど りつくコナンだが、麻酔銃 を切らしてしまって、眠りの小五郎を発動できず。犯人のトラップに引っかかりそうになる小五郎にあわてる……のだが、意外にも小五郎は自力で真相にたどりついていた。

 その過程で瑠璃の悲しみに触れた小五郎は言う。「幼なじみのおまえを……こんなつらくて悲しいウソで一生縛りたくねーからな……」。美しく頭のキレる英理がどうして小五郎みたいなスケベ男と結婚したのか、その理由もうかがい知れる回である。

4.イカロスの翼(62巻)

 このエピソードでは、表立って小五郎は出てこない。終始電話の向こうにいるのみだ。事件の当事者となるのは弁護士である英理。過去の依頼人である女性柔道家、その夫がストーカー被害に悩まされていると聞いて、ともに自宅を訪れたところ、その夫はすでに殺害されていた――。蘭のすすめで、小五郎に意見を求めるべく電話をかけた英理だが、応答する小五郎は麻雀に夢中。だがそのおかげで彼女は、事件のトリックに気がつくのだ。

 実はこの電話口から聞こえてくる麻雀の音に、小五郎からのにくいヒントが隠されていた。結果的にはドジを踏んで、英理の機嫌を損ねてしまうが、わかりやすく親身になるでも、アドバイスするでもなく、そっと陰から支える小五郎の、素直になれない天邪鬼っぷりもまた魅力のひとつかもしれない。

5.妃英理の災難(68巻)

 蘭が抽選で静岡のホテルチケットをあて、ちょうど静岡の依頼人と約束のあった英理とともに、家族+コナンで宿泊することに。実は英理の誕生日だというのに、プレゼントを渡すどころか、おめでとうを言う気配さえなく、酔いつぶれる小五郎。最悪の誕生日に落ち込む英理に、追い打ちをかけたのは、彼女の部屋に転がっていた依頼人の死体だった。

 被疑者となった英理を救うため、いつものように先回りして事件を解いたコナン。だが、英理に対するとある思惑を抱える小五郎に気づき、花華を持たせてやるかとサポートにまわる。無事に事件を解決し、思惑も大成功して株をあげる小五郎だが、いつものように残念なオチも待っている。だがそれも含めてお約束。小五郎が愛される所以かもしれない。

 すでにお気づきだろうが、小五郎がその真価を発揮するときはいつも、彼にとってかけがえのない大事な人たちが絡んでいる。スケベでまぬけなお調子者、だけど、誰よりもまっすぐな優しくてアツい男。そんな彼の、ふとしたときに見せる活躍に、今後も注目していきたい。

文=立花もも