小室哲哉「『GET WILD』は1番ひとり歩きしてくれている親孝行な1曲」 祝『エンジェル・ハート』完結!! 【インタビュー&寄稿】

エンタメ

2017/8/25

 『エンジェル・ハート』完結を記念して、『シティーハンター』から32年の連載を無事に走り抜けた北条先生へ、共に作品を創りあげてきた盟友たちからメッセージをいただいた。

【インタビュー】大沢在昌

    大沢在昌
    大沢在昌
    おおさわ・ありまさ●1956年愛知県生まれ。79年に『感傷の街角』で小説推理新人賞を受賞しデビュー。91年に『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を受賞し、一躍人気作家に。94年に『無間人形 新宿鮫4』で直木賞を受賞するなど受賞歴多数。

 新宿が舞台の作品として『シティーハンター』と双璧をなすのが、大沢在昌さんのハードボイルド小説『新宿鮫』だ。マンガと小説というジャンルの違いはあるけれど、両作品ともに長期間にわたるシリーズ作品という点でも共通する。

『新宿鮫』が発表されたのは1990年。『シティーハンター』完結の前年である。連載当時どんな印象を持っていただろう?

「新宿を舞台にしていることと、冴羽獠がパイソンを持っていることが印象的でしたね。小説の場合、日本を舞台にすると、主人公が当たり前のようにピストルを持っているという設定が難しい。違和感なくその設定が使えるマンガは、本当に羨ましいなあって(笑)。ハードボイルドなシリアスとエッチネタのギャグの切り替えも、上手いなあと感心しましたね。ニヒルでハードボイルドな主人公が活躍するだけの話だと読者も飽きちゃいますから。緊張感を出すためにも、緩むときと締まるときがある。それがエンターテインメントの基本なんですよね」

 この両シリーズが、2008年刊行の『エンジェル・ハート公式ガイドブック』で奇跡のコラボレーションを果たしている。コラボ小説を書くにあたり、マンガの世界観を壊さないようにかなり気をつかったそうだ。それは鮫島と冴羽獠の微妙な距離感に表れている。

「本来、鮫島は冴羽獠を捕まえなければいけない立場ですから、二人の関係を書くとなると、リアリティーの面では厳しいわけです(笑)。鮫島と冴羽獠は性格的には共通点があるかもしれないけど、同じ世界に生きることは許されない。だけど、香と晶(※鮫島の恋人)なら一緒にいてもおかしくない。そこで、晶の視点で香と冴羽獠を書くことにしたんです。晶を主人公にした小説は、『新宿鮫』シリーズでもあの短編だけ。いわば苦肉の策ですよね(笑)」

 一方、北条司のコラボマンガも香と晶が大親友だったという設定だ。(『エンジェル・ハート 2ndシーズン』16巻にも収録)彼女たちを介して、鮫島と冴羽獠の接点が描かれる。

「北条さんも『新宿鮫』の世界観を壊さないように大変気をつかわれたんじゃないかと(笑)。特に鮫島の顔を描くのは、相当苦労されたのではないかと思います。当然、小説に顔は描かれていないわけですけど、描かれてしまった瞬間にイメージが固定化されてしまいますから。北条さんの真意はわからないですが、鮫島の横顔が若干、私に似ているような気がして、ちょっとうれしかったですね(笑)」

■長いシリーズを終えることはスタートでもある

 32年にわたって続いた『シティーハンター』シリーズ同様に、『新宿鮫』もコンスタントに発表され続け、シリーズ11作を数える。ひとつの世界観を何十年と描き続けることは、どういった感覚なのだろうか。

「〝辛い〞のひと言ですよ(笑)。同じ世界の話だから、楽だと思われるかもしれないけど、むしろ逆です。同じ世界観なので、このパターンは前にもあった、となりがちなんですよね。その不安が常に書き手にはあって、必ずそれを避けなければいけない。そうはいってもヒロインや仲間のキャラが同じなわけですから、そうそう違う展開にはできない。読者は物語の変化は望んでも、キャラの変化は望まないものなんです。だけど、作者も年齢を重ねてどんどん変化しているわけだから、世の中の見え方も恋愛の考え方も以前とは変わってくる。書き手が変化しているのに、世界観を変えないというのは、実はとても大変なことなんです」

 長期シリーズを終えた北条司さんにメッセージをお願いした。

「本当にお疲れさまでした。長いシリーズを終えるということは、同時にスタートです。それはクリエイターとして大変勇気がいる決断だと思います。北条さんが次に何を描くか、楽しみにしています」

『新宿鮫 新装版』

大沢在昌 光文社文庫 720円(税別)

「新宿鮫」と恐れられる新宿署の鮫島は、役職にもつかず単独行動をとる風変わりな刑事。歌舞伎町で警官の連続射殺事件が発生し、鮫島は銃密造の容疑者を執拗に追う。
1990年に発表され、現在シリーズは11作を数える。

【寄稿】神谷 明

    神谷 明
    神谷 明
    かみや・あきら●1946年、神奈川県出身。冴羽獠の他に『キン肉マン』(キン肉スグル)、『北斗の拳』(ケンシロウ)など名だたる有名作の主演をこれまで務める。現在は「冴羽獠」の名に由来した個人事務所「冴羽商事」を設立して幅広く活躍している。

 シティーハンターシリーズが完結と聞いて、実はあまりピンときていないのが正直な気持ちです。なぜなら、ボクの中には冴羽獠が、そしてシティーハンターが生き続けているからです。それはさておき、北条司先生長い間お疲れ様でした。さて、この仕事を始めた頃、私の夢は、ギャグキャラクターと渋くて格好良いキャラクターを演じられるようになることでした。

 それから約12年、キン肉マンに出会いました。その数年後ケンシロウに……。これで自分の夢は叶ったことになります。ただ、これらの出会いは実にタイミングが良かったと思っています。夢だけを持っていても、キャリアが伴わなければ実現は不可能です。その意味で自分の幸運を喜ばなければなりません。そして、シティーハンター。私にとって冴羽獠との出会いは、自分の声優人生の集大成となりました。なぜなら、それまで演じてきた全てのキャラクターのエッセンスが一つに集約されていたからです。獠も男が惚れる役とでも言いましょうか、もちろん女子にとっても惚れ惚れする役だったと考えています。私は、自分の中にある理想像として獠を演じていました。それだけ魅力のある役に出会えたこと、自分の人生を褒めてあげたいです。

 

【寄稿】小室哲哉

    小室哲哉
    小室哲哉
    こむろ・てつや●1958年、東京都生まれ。音楽家。83年にTM NETWORKを結成し、84年「金曜日のライオン」でデビュー。音楽プロデューサーとしてtrf、華原朋美、globeなどを手がける。近年ではAAA、超新星、tofubeatsなどにも楽曲を提供している。

 アニメ『シティーハンター』のエンディングを初めて観たとき、自分たちで創った「GET WILD」が流れ客観的にも「合ってるなぁ」と感じたのがすごく印象的でした。「本編の○分○秒でエンドロールに移るから、前向きな感じに入ってきてドーンと広がるような音がほしい」というオーダーだった記憶があります。アニメ『シティーハンター』から、TM NETWORKを知ってくれた人も相当数いると思ってます。TMとしては1番売れた曲ではないですが、いまでは1番ひとり歩きしてくれている親孝行な1曲ですね。