将棋ブームの中でうつ病と戦った一人の棋士の物語『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』に反響続出

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2018/8/5

 空前の将棋ブームの中でうつ病と戦ったプロ棋士・先崎学九段の手記『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』(文藝春秋)が、2018年7月13日(金)に発売された。“うつ病患者”の姿を赤裸々に記した本作は、読者から「胸にせまる本でした」「涙が止まらない」と大反響を集めている。

 2017年8月、日本将棋連盟のホームページには「このたび、先崎学九段(47歳)が一身上の都合により2017年9月1日~2018年3月31日まで休場することになりました」という告知が掲載された。藤井聡太四段がデビュー29連勝を成し遂げたばかりの頃、1人の棋士が“うつ病”で将棋界から姿を消していたのだ。

 先崎氏は1987年にデビューして以来、将棋界を牽引してきたプロ棋士のひとり。羽生善治棋士を筆頭に超強豪が密集した“羽生世代”の一員で、羽海野チカ氏の漫画『3月のライオン』にも監修として関わっている。本作はそんな先崎氏のうつ病発症から回復までの様子が、先崎氏自身の手によって記されている。

 同作では、盛りあがる将棋界の中で不安や孤独を感じていた先崎氏の心境が、「一時間のうち五十分くらいは闇の中にいた。うつの深くて白黒の世界の中に」などのように淡々と細やかに描かれている。エッセイストとしても知られる先崎氏が記した言葉の数々に、読者からは「著者の心の中が、いいことも悪いことも丁寧に描かれている。こんなにうつの心情をそのまま切り出した本があるとは…」「患っている本人がここまで克明に正直にリアルタイムでうつ病を語っている本は珍しい」と驚きの声が。

 さらに「うつ病に苦しんでいる人の病克服の指南書となる一冊」「うつ病は心ではなく脳の病気。誰でもなり得るし、そして必ず回復することが出来る。文中に登場する著者の兄の言葉に泣いてしまいました」「自分もうつ病で休職中のためこの本の内容が心にしみた。先崎先生の本を読んで、この人生の谷底を自分も這い上がりたいと痛切に感じている」と、同じ“うつ病”に関わる人々からも反響が続出。

 また本作の「ふざけんな、ふざけんな、みんないい思いしやがって」というコピーも読者から注目を集めた。ネット上では「このコピーを見て、本当に重症だったんだなって感じてた」「すごいインパクト。うつ病の時のメンタルをすごく的確に表してる」といった声も上がっていた。

 2017年9月から休場していた先崎氏だが、「自分は将棋ができなくなってしまうのではないか」という恐怖から救い出してくれたのもまた将棋だった。2018年6月には棋士として復帰し、現在は叡王戦へと挑んでいる。光り輝く将棋ブームの裏で、先崎氏はどのようにうつ病、そして将棋と向き合ったのか。赤裸々に綴られた言葉の数々は、まっすぐにあなたの心に響くことだろう。