「大谷翔平に茶道をさせよう」 的な人事異動ってホントに必要?

ビジネス

公開日:2020/9/26

「大谷翔平に茶道をさせよう」 的な人事異動ってホントに必要?

 どんな場面においても「適材適所」は大切なこと。もちろん、ビジネスの現場でも重要視されていますよね。しかし思いもよらない人事異動によって、混乱が生じることも多いようです。

リスキーでもローテーションが必要?

 先日ネット上で、「我が社で『羽生善治に野球をやらせよう』みたいな人事が発生しました」という発言が話題に。羽生善治さんといえば誰もが知る名棋士であり、野球とはつながりのない人物。つまり「あきらかに適材適所ではない人事」を皮肉るコメントで、ユーモアを絡めた悲鳴だったのです。

 さらに、適材適所ではない人事は今回が初めてではなかったようで、「昨年から大谷翔平は茶道をしている」とのこと。一連の発言は「わかりやすい例え」と評価されたことに加え、「適材適所という言葉を理解していない会社って多いですよね」「『現場に適した人材を配置する』ことがそんなに難しいのか理解に苦しむ時がある」「組織の活性化といって配置換えするけど、逆に作業効率が落ちてると思う」と多くの共感を呼びました。

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 また「私の会社では、入社前に活躍を期待された藤井聡太がサッカーをやらされています」などのように、有名人で例える人が続出。それだけ他人事ではない事態であり、「当事者にとって笑えない話」と心配する人が多いようです。羽生さんを例えに出した男性も、「人材が抜けた部署の被害もすごいみたい」と実情を明かしています。

 多くの共感を集めた一方で、「リスキーだけど、ある程度のローテーションはあった方がいい」「不測の事態が起きた時にすぐ代役を立てられるよう、ある程度仕事の幅を持たせるのは必要なことだと思う」「さすがに人事異動は考えあってのことでは? 会社側としてはフルスペックの人材がいるに越したことはないし」といった意見も。

 企業や職種によっては、必ずしも「適材適所」だけが有効とは限らないのかもしれません。

力量が足りない部下に上司も困惑

 人事異動のパターンは様々ですが、実際にどのようなメリット・デメリットが生じるのでしょうか。企業の人材育成を支援するリクルートマネジメントソリューションズでは、従業員の声をもとに「職場における適材適所の実態」を調査しました。

「上司として、異動してきた部下への対応で困ったこと」を尋ねたところ、「任せたい仕事に対して、力量が足りない」(55.9%)との回答が最多に。次いで「本人にとって不本意な異動のためやる気がない」(20.7%)、「本人の適性理解と自分の認識が異なる」(18.6%)、「職場の風土に合わない」(15.9%)という結果になっています。

「不本意な異動だが、今となっては良かった経験」への自由回答では、「論理的に考える癖がつき、気づいたら視野が広がっていた」「コミュニケーションの大切さを理解できた」などの声が。異動を通して、ものの見方の変化や視野の広がりを感じた人が多いようです。他にもやりがいを感じたり、仕事・人脈の幅が広がったという声も寄せられていました。

 人事異動に多少の混乱はつきもの。しかし長期的に見れば、その人事が「適材適所」につながるのかもしれませんね。

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