読むだけで儲かるビジネスがひらめく!? 新たなビジネスモデルを生む50の公式

マネー

更新日:2017/10/20

『儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50』(酒井威津善/自由国民社)

 「たった15分読むだけで、あなたの会社が爆発的に売れ出す!」そんな夢のような本が、中小企業経営者や個人事業主から大注目を浴びているのをご存じだろうか。その名もズバリ『儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50』(酒井威津善/自由国民社)。「読むだけで“勝ち組の仕事”がどんどん生まれる!」と帯も威勢よく、たちまち重版を重ねて快進撃中だ。

 正直、これだけ強気にアピールされると、つい手に取ってしまう気持ちもよくわかる…が、一体、15分読むだけで儲かるってどういうこと? ここはひとつその内容をみていこう。

 まずは著者。ビジネスモデルアナリストの酒井威津善氏は、さまざまな業界でCFO(最高財務責任者)を経験。その後、独自に開発したビジネスモデル構築ツールで実績をあげ、現在は年商50億円規模の中小企業を中心に事業サポートを行っている人物。多くの経験から得た知見をウェブでも公開しており(中小企業の経営者や個人事業主向けのサイト「新しいビジネスモデルの発見とヒント集」)、日夜、中小企業の意識&発想力改革に尽力している。

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 今回の本はそんな著者の応援姿勢が全面に出た一冊で、中小企業・個人事業主が読者対象だとはっきり打ち出すことで、「忙しい彼らが本当に必要とする情報」を厳選。テンポのある展開とその力強いトーンにグイグイひきこまれる。

 具体的に中をみてみると、全体は3部構成で第1章は実践的なビジネスモデルの大切さや発想の基本について概略を述べ、第2章はビジネスモデルを発想する上での軸となる考え方や思考の広げ方を解説。興味深いのが続く第3章で、「新しいビジネスを生み出すことに限ってはいえば、ある程度の公式が存在する」と、豊富な実例と共に発想法を50の公式にしているのだ。

 例えば「公式2 待ち時間に“価値”を提供する」(待ち時間は本来の目的が果たされつつあることで気持ちに余裕がある。ここを活用できないか? 例:auショップのカフェ提供)

「公式4 人間の承認欲求を活用する」(承認欲求をSNS以外でもビジネスに活かせないか? 例:様々な人の人生を記事にまとめて価値観を共有しあうサイト「another life」)

といったように、実例からポイントとなる視点を抽出し、その他に考えられる事業例にも言及するというもの。読者はこの公式にあわせて自分の事業について、あるいは新事業についてあれこれ思考トレーニングすればよく、だからこそ「一日15分でOK!」なわけだ(時間がなければ本を頭から読む必要はなく、とにかくこの公式でトレーニングを重ねるのが一番効果的らしい)。

 「大学では教えてくれないことを意識して、この本をまとめた」と著者。最前線のビジネスを多数みてきた著者だからこその、「実践力」は、同じく日夜、格闘している中小企業・個人事業主だからこそ、その力強さをリアルに実感するのだろう。実はこのノウハウ、社会のビジネスモデルを俯瞰するという意味では普通のサラリーマンにもヒントになるし、もちろん新規事業の現場では大いに使えそう。売れているのも納得できる。

文=荒井理恵