クイズを制する者は世界を制す!? 『S・A』『声優かっ!』の南マキ、最新作は「クイズ×大食い」の頭脳バトル!

アニメ・マンガ

2017/9/20

『ピンポンラッシュ!』(南マキ/白泉社)

 文化系にとって夏の代名詞といえば、高校生クイズだ。甲子園で流れる汗と涙もいいが、あらん限りの力を尽くして挑む頭脳バトルも青春だ。そんなクイズがテーマのマンガ『ピンポンラッシュ!』(南マキ/白泉社)、1巻が発売された。クイズを制するものが世界を制す世界で、クイズバトルに巻き込まれるはらぺこ天然少女の物語だ。

 主人公のヒナはとにかく大食らい。クイズの名門校・智慧学園に入学したのも、食べ放題の豪華ランチが味わえるというただそれだけの理由だ。難関試験に一夜漬けで突破。アイドル的人気を誇るイケメンクイズユニット・オーディンに目もくれない。クイズなんてやる気もないし、興味もない。だがクイズエリートのあつまる特進科が幅をきかせ、ヒエラルキーが確立した学園で、クイズと無縁でいられるわけがない。学食の利用許可をもらうため、特進科の生徒と行ったクイズバトル。そこでヒナは、とんでもないクイズの才能を披露してしまう。ところがその才能、発揮するととてつもない空腹感に襲われ、満腹にならないと発揮されない。そんな彼女をクイズの道へ導くのが、もう一人の主人公・緑(りょく)だ。

 オーディンメンバーを兄にもつ緑は、中学時代まで無敗のクイズ王者。だが彼の興味は、兄の所属するクイズ研究部(YQC)より、人探しにある。幼いころ、自分を圧倒的に打ちのめしたクイズの天才少女との再会をずっと夢見ているのだ。名前さえ知らないのは、それこそ彼女の出題したクイズだから。どうしても見つけられなかった彼女の面影を、なんとヒナに見つけてしまう緑なのだが、食べることだけを中心に人生が回っている胃拡張の女が憧れの彼女だなんて信じられるはずがない。というか信じたくない。嘘だ、嘘に決まってる、と葛藤の日々が始まるのである。

『S・A』で南マキが描いたのは、金持ちだらけのエリート進学校でトップ争いを続ける男女だった。貧乏だけど努力家、大の負けず嫌いの万年2位の少女と、彼女に惚れぬいているからこそ1位を独走し続ける金持ちの少年。『声優かっ!』で描かれたのは、声優志望なのにかわいい声がまったく出せずにゴリ姫と呼ばれる少女と、すでに人気声優として活躍中のサラブレッド少年の物語。どちらの作品も描かれていたのは、努力し続ける天才と、欠点を抱えながら才能を発揮していく天然、2人が出会ったときに起こる化学反応だ。ライバルで、同志で、互いを認めあっているからこそ、友情と恋が融合した最強の愛が生まれる。馴れあいではなく、刺激しあい、成長し続けていける関係。互いを誇り高く尊重しているからこそ、支えあうことができる。『ピンポンラッシュ!』にもその気配をひしひしと感じるからこそ、2人に芽生えた恋の予感に胸が高鳴る。

 ヒナは本当に、緑が探している少女なのか。だとしたらなぜ彼女は、クイズを忘れてしまったのか。ヒナの致命的欠陥は、どうして生まれてしまったのか。そもそもなぜヒナの父は、食べ放題を餌に娘を母校・智慧学園に入れたのか。緑は、ヒナとの出会いから何を得るのか。まだまだ謎だらけの本作。ひとつひとつが明かされていくのが楽しみな一作だ。

文=立花もも

★東大生クイズ王・伊沢拓司の頭脳を原作者・南マキが直撃!
数々のクイズ番組や大会で活躍し、高校時代には「高校生クイズ」で連覇を成し遂げた現役東大生クイズ王の伊沢さん(@tax_i_)。南マキさんとの対談で明らかになった伊沢さん自身について、『ピンポンラッシュ!』の魅力とは?

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