香港通い30年のスタイリスト選! お土産におすすめの“日用品”はコレ!

ライフスタイル

2018/5/13

『週末香港、いいもの探し: 多様な文化と暮らしが入り混じる街で見つけた日用品』

 明日異国へ旅立つことは難しくとも、紀行文や旅行エッセイを読めば、頭の中は異国情緒に触れられる。忙しい日々のなかで、日常とは全く違う異国の文化に触れることは、当たり前の日常に新しい刺激と好奇心を与えてくれるだろう。

『週末香港、いいもの探し: 多様な文化と暮らしが入り混じる街で見つけた日用品』(大原久美子/誠文堂新光社)は、既存の旅行本とは違う形で、私たちの日常にそっと寄り添うように香港の空気を伝えてくれる。

 著者は、インテリアや雑貨、料理などのスタイリストとして長年活躍している大原久美子さん。1988年から何度も通い続けた香港で見つけた日用品は、食堂の厨房の調理器具、食器、文房具、手芸用品、軟膏などの薬品や乾麺などの食品まで幅広く、香港という国の文化をまるごと手に取るように知ることができる。

 大原さん自身が撮影したソフトフォーカスな日用品の写真と今昔取り混ぜた香港での体験とともに、その日用品の思い出が語られていく。インテリアスタイリストならではのモノを見続けた目と、「これはなんだろう?」という、純粋な好奇心で香港を見つめる大原さんに選ばれた日用品たちは、姿形も美しく、そして実際に大原さんの生活の中でも愛用されていたモノたちだ。プラスティックのザルや餅屋のトング、白地の陶器にほんわかとした花模様が職人の手によって描かれた器などのどこか郷愁を誘う。香港から大事に抱えて持ってきて、日々のなかで使われていた日用品たちは、どれも愛着が感じられる。そんな香港の日用品を通して、大原さんの日々の暮らしというものまでも浮き彫りになっていくようだ。

 現代にはいろいろなモノが溢れている。ヨーロッパやアメリカなどからやってきた素敵なモノや洗練されたモノたち。確かにカッコ良くはあるけれど、どことなくとっつきにくいと感じることもある。この本で語られる香港の日用品の数々には、どこか親戚のような親近感やノスタルジックな雰囲気を思い出させてくれる。

 日用品の紹介以外に、スーパーや市場などの情報や地下鉄などの交通機関、イラストマップも巻末に記載されており、香港へ行く時のガイド本としても使い勝手がよい。

 旅は一種の非日常で、日常に戻った時に当たり前の生活が始まる。けれど、旅先で見つけた日用品を生活の中に取り入れることで、旅そのものが日常の延長になるような、そんな旅を今度はしてみたいなと感じさせてくれる。

文=長祖久美子