新感覚ギャググルメマンガ『毒贄クッキング』! 村を救うために“生贄”となった美少女エルフの運命は……?

アニメ・マンガ

2018/6/8

『毒贄クッキング』(水無月すう/白泉社)

 勢いの止まらない「グルメマンガ市場」。一昔前であれば、料理人たちの熱きバトルが繰り広げられるのが王道の展開だったが、ここ数年は異色の作品が続々と登場している。ゲテモノを調理したり、コンビニグルメをアレンジしたり、ひたすら男子高生にご飯を食べさせてみたり……。どれもグルメに一捻りの展開を加え、読者を楽しませている作品ばかりだ。

 そんなグルメマンガ市場に殴り込みをかけるがごとく、突如現れた話題作がある。それが5月29日(火)に第1巻を発売したばかりの『毒贄クッキング』(水無月すう/白泉社)だ。

 本作のベースとなっているのは、魔物やエルフが住むファンタジー世界。そこでいったいどんなグルメが描かれているのか。本作でグルメ扱いされているのは、美少女エルフの“ペポパ”。そう、彼女がこの作品における“食材”なのだ。そして、それを食すのは、村を襲う伝説の魔物。ペポパは村を救うため、“生贄”として魔物に献上された生娘なのである。

 とはいえ、本作は残酷な猟奇モノではない。むしろその真逆、ギャグ満載のコメディなのでご安心を。

 第1話で生贄となる覚悟をし、魔物に喰われてしまったペポパ。しかし、口に含まれた瞬間、吐き出されてしまう。その理由は、ペポパの足があまりにも臭かったから。本来であれば、そこで命拾いした……と安堵するはずが、ペポパはそうではない。村に多大な借金をしている彼女は、それをチャラにしてもらうため、何が何でも生贄として食べてもらうことを切望する。このあたりから、物語は明後日の方向へと突き進んでいくことになる。

 足の臭いを必死で消し、自らを美味しく煮込むペポパ。そうしてできあがったのは、「村娘のおでん」。

 しかし、調理法を間違えてしまったようで彼女の悪臭は消えておらず、結局は食べてもらえない。こうして、ペポパと魔物のグルメバトル(?)が幕を開けるのである。

 この他に登場するのは「村娘フライ」「カップ村娘」「村娘のスライムあんかけ」などなど。しかし、どれも魔物のお気に召さなかったようで、食べてもらうことはかなわないまま。そのうち、ペポパと魔物との間には奇妙な絆ができる。

 そんな矢先に現れるのが、天使のデデレル。彼女は魔物を退治してまわっている、いわばペポパにとっての救世主だ。ただし、なぜかペポパは彼女と敵対し、物語はもはや予測不能な方向へと転がっていく……。

 村を救うため、生娘が生贄になる。この展開に、どこか儚さを覚える人は少なくないだろう。実際、ファンタジー系のマンガやゲームでは、こういった切ない展開はお約束になっている。しかし、本作はペポパのちょっとネジが抜けている性格も相まって、儚げな雰囲気は皆無。終始ドタバタギャグが繰り広げられ、それに巻き込まれてしまった魔物が可哀想になるくらいだ。

 良い意味で、頭を使わずにゲラゲラ笑いながら読める本作。かわいくてちょっとおバカなペポパと、不憫でならない魔物との掛け合いを楽しむ、新感覚のグルメマンガである。

文=五十嵐 大