運命の再会、そして…。水泳男子の青春群像劇『Free!』、大学生編スタート！

　水なしでは生きられない、あの男たちが帰ってきた――！

　7月から放送中のTVアニメ『Free!－Dive to the Future－』は、水泳に青春を懸ける男子たちの物語。アニメ3期にあたる本作では、主人公・遙たちも大学生に。東京の大学で練習に励む遙、違う立場で水泳に向き合う真琴、オーストラリアへ渡った凛のほか、中学時代のチームメイトも登場し、再会から生まれる新たなドラマを描き出している。

　まずはここで、アニメの時系列を整理しておこう。

　この中で、『Free!-Dive to the Future-』のカギを握るのが中学生編。第1話で登場人物を総ざらいするので新シリーズから見ても大丈夫だが、8月31日まで無料配信中の予習動画や、『映画 ハイ☆スピード!－Free! Starting Days－』を観ておくと、人間関係への理解が深まるだろう。

　大学水泳部で中学時代のチームメイト・旭と再会した遙は、ともに大学対抗新人戦に出場する。そして、偶然にも同じく中学でチームメイトだった郁弥の泳ぎを目の当たりにし、衝撃を受けることとなる。かつては平泳ぎ専門だった郁弥だが、新人戦では個人メドレーに出場。しかも自由形では「俺はフリーしか泳がない」と宣言する遙に似たスタイルで他を圧倒する。遙の泳ぎを「郁弥の劣化コピー」と酷評する郁弥の友人・日和、遙に謎めいた言葉を投げかける無精ひげの男など、早くも序盤から波乱を予感させている。

　一方、凛、真琴、今も岩鳶高校水泳部を支える下級生の渚、怜といった面々も、それぞれの道を歩んでいく。小学生、中学生、高校生と年齢を重ねてきた分、遙と関わる人物も増え、ストーリーはより重層的に。少し大人になった彼らがどのような形で水泳に関わっていくのか。彼らと遙の人生が再度交錯する日は来るのか。水泳競技をめぐる群像劇が、丁寧に描かれていく。第2話まででは片鱗しかうかがえないが、今後への期待が高まるところだ。

　ストーリーだけでなく、『Free!』シリーズと言えば作画の素晴らしさも大きな見どころと言えるだろう。ひとかきするたびにプールに立つ白波、指先から散る水しぶき、水面から見上げる太陽のまぶしさ。よく競泳選手は「水をつかむ」というが、力強く滑らかなストロークで水を捉え、一気に前へとかき進む感覚を視聴者にもリアルに体感させてくれる。観ているだけで体感温度も下がり、酷暑を涼しく過ごせるのもうれしい。

　個人的には、エンディングアニメのクオリティにも驚かされた。主要メンバーがスーツでダンスを繰り広げる姿に、頬を緩ませた人も多いはず。頭のどこかで「果たして踊ってる場合だろうか」と冷静なツッコミを入れながらも、途中からそんなのどうでもよくなってくる。だってかわいいんだもんねーーー!!!

　クールでありながら熱い青春を描いたアニメ本編からサービス精神が過剰にあふれ出てしまったエンディングまで、3期も見どころ満載。30分間みっちり楽しみ、身もだえしながら熱帯夜を過ごしてほしい。

文＝野本由起