わが子が将来を力強く生き抜くためには? AI時代に子どもが困らないための子育て

出産・子育て

2018/9/9

『戦略子育て 楽しく未来を生き抜く「3つの力」の伸ばし方』(三谷宏治/東洋経済新報社)

「AIやロボットに仕事が奪われる時代がやってくる」「これが奪われる仕事のリストだ」などの文が、保護者を不安にさせる。わが子はどんな仕事に就くのだろうか、そのために、保護者はどのようなサポートをするべきなのだろうか…、と。

『戦略子育て 楽しく未来を生き抜く「3つの力」の伸ばし方』(三谷宏治/東洋経済新報社)は、子どもに未来を生き抜くための力をつける子育て本。本書は冒頭で「子育てとは、子どもの自立に向けたたった20年前後の人材育成プロジェクト」であり、その中で、「仲間と試行錯誤しながら、形にしていく能力と気持ち」が身につけば、一生仕事に困ることがない、と力強く断言している。本書には、この能力と気持ちが養われるための子育ての考え方やノウハウが豊富に収録されている。本書は、将来のAI時代に増加する職業の本命を「起業家」と予想している。AIやロボットにはできない「起業」をするために、前述の引用が必要になる。

 とはいえ、起業や新商品・新規事業開発をするために、みんながリーダーである必要はない。本書によると、成果につながる創造的なチームにはさまざまなキャラクターが必要で、その全員が「ボールに触れ」て「パス重視」で「ドリブルを控えゴールを目指す」などの意思や姿勢を共有しなければならないという。

 さまざまなキャラクターとは、次の10種の人材だ。わが子に近いのは、どのタイプだろうか。


1.人類学者:観察して面白いことを見つける人
2.実験者:試作品を手早くつくり改善点を見つける人
3.花粉の運び手:異なる分野の要素を理解し導入する人
4.ハードル選手:障害物に燃えて乗り越える人
5.コラボレーター:全体を見て横断的な解決策を考える人
6.監督:人材を集め、調整する人
7.経験デザイナー:相手が納得するシナリオをつくれる人
8.舞台装置家:スタッフに最高の環境を整える人
9.介護人:理想的なサービスを提供する人
10.語り部:コミュニケーションに優れブランドを培う人

 このいずれかの人材になれれば、「起業家チーム」として将来を生き抜ける。ここで重要になるのは、10の人材に共通して求められるのが「試行錯誤力」だということだ。

 周囲をよく観察し、さまざまに試作し、従来のように投資家を説得するのではなくクラウドファンディングにかけるなどして注文を取るといった積極的でアクティブな試行錯誤を高速にできる能力が必要になる。そして、「試行錯誤力」は「発想力」「決める力」「生きる力」の3つに分解される。本書は300ページを超える厚い紙面で、3つの力を養う目から鱗のメソッドを披露している。

 例えば、「決める力」を家庭で養う方法のひとつに「答えではなく方法をアドバイスする」というものがある。

 保護者に信頼を寄せる子どもは、よく相談にやってくる。相談にくる子どもはかわいい。そして、保護者はアドバイスという名の「答え」を与える。これでは「決める力」が育たない。

どんな考えを持っていても、必ずよりよい「アドバイス」を示されるので、子どもはその内、面倒になって自分で考えることを止めてしまいます。

 これが続くと、保護者は「うちの子は優柔不断でちっとも決められない」と不安になる。だから、与えるべきものは答えではなく、考え方であり調べ方である、ということを保護者自身が認識していなければならない。

 時代が変わると子育ての方法も変わる。時代の過渡期である今、保護者の考え方や姿勢がキーとなっている。

文=ルートつつみ