有吉弘行、伊集院光も称賛! マシンガンズ・滝沢秀一のゴミ学本がスゴイ

エンタメ

2018/10/4

『このゴミは収集できません』
(滝沢秀一/白夜書房)

 タレントの有吉弘行が「ゴミはダイヤなのかもしれない…」とつぶやけば、伊集院光は「お笑い芸人がゴミ清掃で発掘したゴミ学」と称賛。強力なインフルエンサーたちの援護射撃を受けて、重版街道まっしぐらという1冊が、お笑いコンビ、マシンガンズ・滝沢秀一の著書『このゴミは収集できません』(白夜書房)だ。

 著者が芸人活動の傍ら、ゴミ清掃員のアルバイトを始めたのは今から6年前。当時36歳。子どもができ「3月までに40万持ってこい」と奥さんに言われたことがきっかけだ。9社のバイト募集にすぐに応募するもことごとく敗退。唯一、即採用という神対応をしてくれたのがゴミ清掃会社だった。

 ゴミ清掃業は36歳の僕でも即採用してくれる懐の広い業界で、本当に様々な人が働いてお世話になっている。

 こうして始まった清掃員の仕事を通して感じたことなどを、著者はまずツイッターで配信し、多くのフォロワーを獲得。本書の巻頭には、タナカリヨウスケ氏の、どことなく初期の蛭子能収を感じさせるシュールテイストなイラストと共に、41篇の珠玉のつぶやきが掲載されている。

 本書には他にも、ゴミを通して洞察した性差、経済格差や、ごみ集積所から見えてくる地域の治安や物件、清掃員あるあるネタ、清掃員の1日や働く仲間の紹介、みんなに考えてほしいゴミのことなど、伊集院が言うように、まさにユニークな「ゴミ学」がまとめられている。

■絶対にやってはいけない「ウソのクレーム」とは?

 おもしろエピソードの数々は、本書で味わっていただくとして、ここでは少し真面目なテーマを紹介しよう。

 もし全国の清掃員が集まったら、全員が異口同音に「これだけはやめて」と切にお願いしたいゴミ案件があるそうだ。それは回収車が行ってしまった後の後出しにもかかわらず、「置いておいたのにゴミを回収し忘れている」と主張する「ウソのクレーム」だという。

 週に数回出せる燃えないゴミや回収ミスはあり得ない粗大ごみにいたるまで、再回収依頼の電話をすごい剣幕で事務所にかけてくる強者がいるそうだ。

 もちろん、清掃員も人間なので、小さなゴミがイレギュラーな場所にあれば見逃しもすると、著者は告白する。だが、集積場所を熟知した3人態勢のプロが、時間通りに指定場所に出されたゴミであればまず、見逃しはないし、粗大ごみであればなおさらだ。

 この「ウソのクレーム」によってどんなことが起こるのか? それは時間スケジュールの大幅な遅延だ。粗大ごみの場合、1日で80~100カ所ほど回るという。その途中でクレーム対処が入ると、大きくタイムロスが生まれる。その結果、保育園に子どもを迎えに行く時間が大幅に遅れた清掃員もいれば、著者のように、本業に遅刻する悲劇にもつながるという。

 ということで皆さん、「ウソのクレーム」だけはやめましょう。本書には他にも、「清掃員に優しいゴミの出し方」などのアドバイスもあるので、ぜひ、参考にしてほしい。

■1人の人間が1年間に出すゴミの量は日本がダントツの世界一

 笑いを誘い続ける本書だが、最終章だけはいたって真剣な提言がなされている。それが「ゴミの減量化」だ。「一人の人間が一年間に出すゴミの量は日本がダントツの世界一です」と記す著者。ちゃんとデータも添えられている。さらにゴミ先進国スウェーデンの事例などを紹介しながら、ゴミ減らしのために日本ができることや個人ができることなどもいくつも提言されているので、ぜひ、実践してみよう。

 ひとつだけ、すぐにできることを書いておくと「生ごみの水分は十分に切ってから出す」を実践してほしいそうだ。これだけでも可燃ごみの重量が減り、燃焼率は上がり、社会貢献できるという。

 笑いながらも、多くの学びと気づき、戒めが得られ、清掃員の皆さんへの感謝の気持ちが湧き、さらには環境への配慮や社会貢献のヒントまでが得られる本書。ぜひ、一家に1冊置いて、みんなで情報をシェアしてはいかがだろうか。

文=松本ひろこ