映画『翔んで埼玉』でも話題! 埼玉の永遠のライバル千葉に生息する“千葉都民”と“千葉県民”とは

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更新日:2019/3/3

『あなたはどっち? 千葉都民 千葉県民』(都道府県民調査隊/マイクロマガジン社)

 小中高の青春時代を千葉市で過ごし、一度離れたのち、現在は再び千葉市で暮らしている。1時間も車を走らせれば、東京の隣県であることが信じられないほど自然豊かな風景が広がり、40分ほど総武線に揺られれば日本の中心・東京駅だ。田舎過ぎず、都会過ぎないバランスが良い。

 北海道や沖縄のように人気観光地というわけでなく、東京のような都会ではない我が千葉県。そんな田舎でもない、都会でもない、あえて悪く言うなら中途半端な立ち位置の千葉県をフィーチャーしてくれる“あるある”本が登場した。それが『あなたはどっち? 千葉都民 千葉県民』(都道府県民調査隊/マイクロマガジン社)だ。ちなみに、本稿では千葉県の土地勘がない人に向けて、千葉県の形をしているマスコットキャラクター・チーバくんの身体の部位を用いて、各地の場所を紹介したい。「チーバくん? 何それ? どローカルなキャラ知らないよ」という人は、検索してご確認いただけるとうれしい。

 本書は千葉県に存在する2つの人種にスポットを当てている。そのひとつが“千葉都民”という人種だ。彼らはチーバくんで言えば鼻・口・目といったお顔の辺りとなる、東葛・葛南・北総エリアに住んでいる。そして、東京に対して並々ならぬ憧れと、東京に住めなかったことへのコンプレックスを抱いているという。また、関東をランク付けすると1番は東京、2番は神奈川(横浜のオシャレさには勝てない)、3番手は千葉と固く信じている特徴があり、特に3番手を争っている(と勝手に思っている)埼玉に対しては、意地でも勝利しようとしている節がある。現在公開中の映画『翔んで埼玉』でも、埼玉とのよき(?)ライバル関係が描かれているので注目していただきたい。

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 チーバくんのお顔以外に住んでいるのは、本書で“千葉県民”と呼ばれている地元民。彼らは千葉を愛し、千葉に強いこだわりを持っており、仕事も学校もわざわざ東京に出ることはなく、県内で完結させる。とはいえ、東京に近いこともあり、週末にはドライブや、電車を数本乗り継ぎ、ちょくちょく上京を楽しむ県民も存在。氣志團のような絶滅危惧種のヤンキーが木更津(チーバくんのお腹あたり)にいるとか、いないとか…。

 ここからは、千葉に住む我々でも「わかる!」と思わず笑いがこぼれてしまう“あるある”ネタを紹介したい。

■東京湾に面しているから東京というヘンな理屈を言い出す

 日本中から来園者が訪れる某有名テーマパークだ。東京と冠しているにもかかわらず、住所は千葉県浦安市舞浜。チーバくんで言えば舌のあたり。さらに、千葉県を代表するオシャレスポットの1つにららぽーとがあるのだが、こちらも店舗名に「TOKYO-BAY」が付く。

 上記2つは、まだ東京に近いため許されるかもしれない。だが、チーバくんのお腹あたりに位置する袖ヶ浦市の「東京ドイツ村」はどうだろう。千葉県に住む人でも「なぜ?」と疑問を抱くネーミングだ。

 この3つに共通することは、東京湾の近くにあること。それならば、東京と銘打っても問題ない。そう考えるのは発明なのか、プライドがないのか…。ちなみに同様に東京湾に面しているはずの神奈川県にはそのようなネーミングはないらしい。

■京葉線の幕張から東が秘境扱い

 千葉県民でなくとも、幕張という名前を聞いたことがあるのではないだろうか。千葉市内に位置し、東京駅からJR京葉線で40分前後のエリアだ。高層ビルが立ち並び、ウェザーニュースや何かと話題のZOZOの本社があるビジネスタウン。さまざまな催しが開かれる幕張メッセや千葉ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアムも幕張だ。さらに、吉本興業の劇場や映画館を備えた巨大なイオンモールやコストコなどもあるので、まさに千葉の中心地といって過言ではない。

 だが、賑やかな海浜幕張駅から数キロほど東に移動すると、ガラッと景色は変わる。畑や林といった自然豊かな光景が広がるのだ。本書でもいじられているが、まさに秘境といえる。

 そして、同じ千葉市であるにもかかわらず、県庁に近い千葉駅周辺は存在感が薄いこと薄いこと。

 千葉県に住む人は、東京に近いことを誇りに思う一方で、東京ではないことにコンプレックスを抱く人が多かれ少なかれ存在する。“千葉県民”はある意味割り切ってしまっていて、現状を楽しんでいると言えるし、“千葉都民”は東京を捨てきれずにいるように感じる。そんな千葉に住む人々の悲哀をネタにして笑っていただけるなら、千葉出身の私としてもうれしい限りだ。

文=冴島友貴