「女は男より賢いとモテない?」ジェーン・スーと中野信子が語り倒す女の生きづらさ

文芸・カルチャー

2019/7/28

『女に生まれてモヤってる! 本当は「自分らしく」いたいだけなのに』(ジェーン・スー中野信子/小学館)

「女は得だ」という人がいる。「男のように仕事しなくてもいいからラク」とか「やたらレディースデーで優遇されるから」とか「おごってもらえるから」とか理由は色々だが、それって本当に「得」なんだろうか。だって「男よりラク」なのは期待されていないことの裏返しだし、いくら割引されてもそれがいらないものなら意味がないし、おごられるのだっていってみれば相手の支配下に入ること…それより「女だから」という理由で、いろいろと生きづらいことの方が実際は多くないか?

『女に生まれてモヤってる! 本当は「自分らしく」いたいだけなのに』(ジェーン・スー中野信子/小学館)は、辛口の本音トークが人気のコラムニスト、ジェーン・スーさんと、気鋭の脳科学者である中野信子さんが、こうした「女だからこそ抱えてしまうモヤモヤ」を語り倒す1冊だ。

 スーさんは身体が目立って大きかったことから、中野さんは頭が良すぎたことから、それぞれ生意気と思われやすく、幼い頃から庇護される存在としての「女らしさ」の物差しから外れてきたという。かつてはそんな自分を責めたこともあったが、40歳を超えた今はそうした境地からも離脱。とはいえそれでも「年齢を重ねると価値が下がるように思われること」や「結婚や出産をコンプリートしないと不完全だと思われること」といった、「女だから課せられる枷」が相変わらず存在することに疑問を持つこともある。

 女がそんな目に合うのは劣っているからなのか。いや、そもそもそうした枷は、社会そのものが抱えるシステムエラーみたいなものだとお二人。そして「女らしさとは誰のためにあるのか?」「なぜ女は自信を持ちづらいのか?」などをテーマにしながら、スーさんが巧みに時代の空気を読めば、そこに中野さんが生物学や心理学、脳科学などアカデミックな方向からの分析を加え、女に課せられた枷をあぶり出していく。

 たとえば「女は男よりもバカだ。もし、男よりも賢かったとしたら、モテない」とか「女は仕事ができない。もし仕事ができたら、女として劣っている」といった考えが、あなたの中にあったりはしないだろうか。こうした「ネガティブなステレオタイプ」は折に触れ親や世間から意識させられやすいもの。しかも一度意識させられてしまうと、実際にうまくいかなくなってしまうという「呪い」みたいなものだというから恐ろしい。ただここで覚えておきたいのは、そうした呪いを作り出す原因はもちろん外部の影響でも、実は無意識にそれに囚われてしまう自分自身にもあるということ。

 あなたも一度、そんな「思いつく限りのネガティブな刷り込み」を書き出してみるといい。無意識レベルではわからなくても、表に出すことでそれがいかにバカげているかがよくわかり、結果的にそうした認識はあなたが自信を取り戻すきっかけにもなる。つまり無意識に受け入れていた「女だから」という枷を自覚し、そのメカニズムを理解することで対処法も見えてくるというわけだ。

「“男と女、どっちが得か?”と考える事によって、今の自分が置かれている状況下で最も得な選択をする助けにはなる」(中野さん)「その上で、自分の特性を把握し、それをどこに置けば効率よく使えて、目減りさせずに過ごせるかを自分なりに考えて行動する。それがその人にとっての“生存戦略”」(スーさん)――お二人が本書でさまざまに語り合う「現実的な対処法」「自分がラクになる考え方」は、その明晰な分析と本音っぷりが実に頼もしく、なんだか勇気が湧いてくる。あなたも「自分らしく」いるために、本書をヒントに生存戦略を練るべし!

文=荒井理恵