ある日、突然に激しい動悸や呼吸困難に襲われた── その症状は「パニック症」かもしれない!

健康・美容

2019/8/31

『マンガでわかる パニック症・広場恐怖症』(貝谷久宣:監修、ふじいまさこ:マンガ/主婦の友社)

 テレビのワイドショーをよく観るという人ならば、「パニック症」や「パニック障害」といった言葉を一度ならず聞いたことがあるだろう。有名なアイドルが発症し、活動休止となったニュースがたびたび報道されたからだ。しかしパニック症と聞いて、どんな病気か答えられる人はあまり多くないのではないだろうか。それもそのはず、この病名は1990年代になってWHO(世界保健機関)に登録された、比較的最近知られるようになった病気なのだ。『マンガでわかる パニック症・広場恐怖症』(貝谷久宣:監修、ふじいまさこ:漫画/主婦の友社)では、パニック症とはどんなものか、どのように対処すればよいのかを漫画とテキストを併用して、分かりやすく解説している。

 まず知っておいてほしいのは、パニック症は「なんの理由もなく、誰にでも起こりうるもの」であることだ。症状としては「突然、理由もなく『パニック発作』が起こる」というもの。パニック発作とは、激しい動悸や呼吸困難、めまいの症状に襲われることで、身体症状はとても激しく「このまま死んでしまうのではないか」と思う人もいるという。そして検査をしても身体に異常は見つからないのも特徴だ。そう、パニック症とは身体ではなく心の病気なのである。

 そしてこのパニック発作は、1回限りというものではなく、何度も繰り返し起こる。このため患者は「また発作が起こるのではないか」という不安に駆られ、発作の起きた場所に足を向けられなくなるという。例えば電車で発作に襲われたなら、電車に乗れなくなる、という感じだ。このような状態を「予期不安」といい、発作が起きるたびにその対象も増えていくので、行ける場所がどんどん少なくなっていく。発作が起きそうな場所へ行けなくなることを「回避行動」といい、これが「広場恐怖症」へと発展することも。広場とは広い場所ではなく、発作が起きても逃げられないような場所を指し、広場恐怖症が重症になると家から一歩も出られなくなるという。またパニック性のうつ病など、パニック症は他の病気を併発することも多い、非常にやっかいな病気なのだ。

 では、もし発症を感じたらどうすればよいのか。本書では「治療の第一歩は、よい医者と医療機関を見つけること」と記す。先述の通り、パニック症は最近知られるようになった病気であるため、病気に詳しい医者がそれほど多くないというのが実情だという。まずは自分の地域の保健所や精神保健センターで相談するなどして情報を集めよう。またパニック症は心の病気なので受診するのは精神科、神経科、精神神経科、心療内科となる。本書ではパニック症患者が同様の病気にかかった人物からのアドバイスを受けていたが、同じ病気を克服した人の話を知るのも大いに参考となるだろう。

 よい医者ならびに医療機関が見つかったら、治療開始である。パニック症の治療には薬物療法が有効だという。薬というと依存症など不安に感じる向きもあろうが、医師の指導に従って、正しく服用すれば大丈夫。症状が改善すれば、徐々に薬の量を減らしていけばよいのだ。ただ、薬では症状をコントロールすることはできても、「また発作が起こるかも」という不安までは消せない。そのためにマイナス思考を消すための精神療法も用いられる。リラックスするためのリラクゼーション法や不安だった場所にあえて身をさらす曝露療法などを行なうことで、心の免疫力を付けていくのだ。

 先述した通り、パニック症は誰にでも起こりうる病気である。だからこそ、自分が発症してしまったときに備えて、正しい知識を持っておくことは重要だと思う。そしてもし、現在「パニック症かも」と思い当たる症状を抱えている人がいるならば、早めにパニック症に対応した医療機関を受診してほしい。どんな病気でもそうだが、やはり早期発見、早期治療が大事なのである。

文=木谷誠