会社や家族にも秘密…〇〇好きなおじさんが抱える苦悩を描く『おじさんはカワイイものがお好き。』

マンガ・アニメ

2019/9/29

『おじさんはカワイイものがお好き。』(ツトム/フレックスコミックス)

 アイドルや俳優、アニメのキャラクター、ドラマの登場人物…彼らに心奪われ、現場に足を運び、グッズは発売日にゲットするなど自分の“推し(お気に入り)”を応援しつづける人生、幸せですよね。推しがいる人は「人生が楽しくなった」「推しが存在している事実だけでご飯3杯いける」など、みな一様に遠くを見るとか見ないとか。

 ただ、この世には諸事情から自分の推しへの愛を全力で叫べない…という人もいるのです。『COMICポラリス』で連載中の『おじさんはカワイイものがお好き。』(ツトム/フレックスコミックス)は、タイトルにもある通り、カワイイものが好きなおじさんの苦悩と萌えの日々を描いた作品です。

 主人公の小路三貴(40歳)は、現在バツイチのひとり暮らし。一見すると、スーツが似合う苦みばしったいいシブメンなのですが、彼には大きな秘密があります。その秘密とは「カワイイもの好き」のおじさんであること。なかでもパグをモチーフにしたキャラクター・パグ太郎は、彼にとって唯一無二の推しキャラです。

 日常のふとした瞬間にもパグ太郎に思いを馳せる小路さん。たとえば、メジャーを手に取ったときにパグ太郎の身長が45cmであることを思い出し、メジャーを引き出して「45センチ… パグ太郎はこれぐらいか……ということはうちにあるの(ぬいぐるみ)のほぼ実寸♡ じゃないか!?」と、気づき胸キュンします。

 ちなみに、バツイチになってしまったのも彼の「カワイイもの好き」が原因。奥さんにカワイイものを否定されたわけではなく、自分の趣味を妻に秘密にしつづけた結果「私に何かずっと隠し事してるでしょう…?」と言われ、離婚に至りました。なんとも切ない別れですね。

 離婚後はパグ太郎との穏やかな日々を謳歌する予定でしたが、大学生の甥っ子・真純くんが間借りすることになり、いまだ愛するパグ太郎のぬいぐるみはクローゼットの中。さらに、小路さんは全国に(いるかもしれない)カワイイもの好きのおじさんたちのイメージダウンを阻止するために、仕事を完璧にこなして体型維持にも尽力…。この気持ち、推しがいる人なら共感できるのではないでしょうか。

 たとえば「◯◯のファンはマナーが悪い」と思われたら、推し本人のイメージダウンにもつながる、それだけはあってはならない! そう思う気持ちに似ているような気がします。まあ、小路さんの推しはパグ太郎であって、カワイイもの好きなおじさんではないのですが。

 孤独なカワイイライフを送る小路さんでしたが、くまさん好きのデザイナー・河合ケンタくんとの出会いによって同志を得る喜びを知ることに。8月に発売された第3巻では、近所のコーヒー店で提供されている“カワイイ立体ラテ”をケンタくんと一緒に堪能し、ケンタくんの自宅でカワイイものを持ち寄って推し会に興じるなど、カワイイもの×おじさんの魅力が満載でした。

 同作を読んで、推しへの愛に共感してみてはいかがでしょうか。

文=丸井カナコ