ツイッター読者驚愕!! 『百合な片想いちゃん』の片想いが尊すぎる

マンガ

更新日:2019/10/12

『百合な片想いちゃん』(ゆりかご/KADOKAWA)

 黒髪ボブヘアーの真耶(17)と、金髪ふんわりロングの結菜(17)。同じ女子高に通う二人は、幼稚園の頃からの幼なじみで同級生。真耶のことが好きで好きでたまらない結菜は、ことあるごとにじゃれついてはかわされたり、塩対応をくらったり。そんな彼女たちの毎日はゆっくりと、でも駆け足で進んでゆく――。

 一過性のブームを超え、今や一ジャンルとして定着した感のある“百合”。

 コメディからシリアス、プラトニックからエロスに焦点を絞ったものまで、様々な切り口で百合の尊さ、奥深さに迫る作品が次々発表されていく中で、SNS発の大人気マンガがついに書籍された!

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 本作『百合な片想いちゃん』が単行本デビューとなる作者のゆりかごさん(@yuri_kago_)は、百合マンガ・イラスト界では知る人ぞ知る実力派。真耶と結菜のやりとりを描いた掌編をSNS上で発表するや、百合好きの間でたちまち火がつき、フォロワー数は86000を突破。

 女の子同士のきゃっきゃうふふに、ほっこり、むずきゅん要素は勿論、キュートな絵の中に不意に投入されるエロ描写がこれまたエロい(誉め言葉、誉め言葉です)! 好き好きモードを隠そうともせず、ぐいぐい押してくる結菜と、ツンデレ的な対応が多い真耶。そのやりとりは実に微笑ましく、傍から見ると「両想い」そのものだけど、読み進めてゆくにつれ関係性の微妙な綾が浮かび上がってくる。

「好き」という感情は共通しても、「想い」のベクトルも同じとは限らない。まして異性ではなく同性だから、女の子同士だから、この関係にたしかなものは何もない――。

結菜の考えてることはだいたい真耶にはお見通しという、熟年夫婦の域に達してもいる2人。

 基本的にはラブコメながら、いや、ラブコメだからこそ鮮やかに現れる恋の喜びと不安。片想いにじれじれした人ならきっと、身もだえしつつも共感してしまうだろう。

 単行本には、SNSに掲載された数々の短編の他、二人の過去を描いたプロローグと、高校時代が終わろうとする現在を綴ったエピローグが描き下ろしで追加されている。初めと終わりを締めくくるこの描き下ろしの二編では、真耶の視点から結菜への「想い」が綴られている。自分の臆病さと、結菜の強さに憧れる気持ちが切々とにじんできて……たまらなく切ない! ツイッター掲載分では見えてこない、タイトルに込められた意味が理解され、胸に迫る。

彼女たちの「片想い」はどう変化する……?

 また、同じく人気シリーズの『かまいかまわれ百合姉妹』や、初恋、失恋、ヤンデレなど様々な形の百合を切り取った短編も多数収録。現在ダ・ヴィンチニュースで試し読みが連載されているので、気になった方はぜひこちらからもチェックしてみてほしい。

ラッキースケベが随所に盛り込まれているのも大きな見どころだ。

文=皆川ちか