今アメリカで「礼儀正しさ・丁寧さ」が見直される理由。無礼な人は企業に悪影響!?

ビジネス

2019/12/3

『Think CIVILITY(シンク・シビリティ) 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(クリスティーン・ポラス:著、夏目大:訳/東洋経済新報社)

 ビジネスでも人間関係でも最強の武器になる「礼節」の力を徹底解説し、全米で話題になったのが『Think CIVILITY(シンク・シビリティ) 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(クリスティーン・ポラス:著、夏目大:訳/東洋経済新報社)です。「職場の無礼さ」について20年間研究してきたという著者の集大成となる本書は、「礼節を高める方法」を解説する実用的なガイドブックです。
 
 タイトルにある「シビリティ」とは、日本語でいうと「礼節、礼儀正しさ、丁寧さ」という意味を持つ言葉。「礼節」とは、根本的には「人間らしく相手と関わる」ということを意味します。アメリカにはこの「シビリティ」の意識は古くからあるそうですが、著者の調査によると、アメリカにおける礼節の欠如は年々ひどくなっており、回答者の70%が「危険な水準に達している」と危機感を感じているそうです。世界的には「礼儀正しい」といわれることが多い私たち日本人も、礼節についてよく考えなおしてみる必要がありそうです。

■世界的に「無礼な言動」が増えた理由は?

 グローバリゼーションが進み多様な文化の人々と接するようになったこと、世代間のギャップ、また発達したテクノロジーが、職場での人間関係を損なっているといわれています。でもポイントは、「自分にばかり目を向け、他人にはあまり目を向けないことから他人の扱いが無礼なものになってしまう」ことだと著者は指摘します。

「無礼は無礼を生み、礼節は礼節を生む」

 ここでいう「無礼」とは、とても尊敬できないような言動。無礼な仕打ちを受けた人は、集中力、注意力を削がれることになり、その場に居合わせた人も無意識のうちに破壊的、攻撃的な思考になりやすくなるそうです。無礼な態度は、人や会社に悪影響を及ぼし、まわりまわって巨大な損失を生むのです。

 しかし、ポジティブな面に目を向けると、「礼節」の伝染力もまた強いものだといいます。人に感謝する、人の話をよく聞く、わからないことは謙虚に尋ねる、他人の良さを認める、といった「礼節ある態度」に接すると、よい気分になり、互いに寛容になり助け合う雰囲気が生まれるからです。人間関係をよくすることは、ビジネスにおいては企業の業績向上にも関係します。

■無礼によるビジネスの損失を防ぐには

 いかに優秀な人でも、無礼であれば会社に在籍させる価値はないと著者は提案します。また、「顧客や社外の人が、社員に対して無礼な態度を取ることも許してはいけない」と述べます。アメリカの会社の中には、礼節のための規範(挨拶とお礼の言葉を忘れない~無礼な態度を見過ごさないまでの10項目)や、礼節ある行動をとった人を評価するシステムを持っているところがあるそう。先端企業のひとつであるマイクロソフトでは、社内で「礼節のトレーニング講座」を実施しているそうです。

 本書には読者が自分自身や周囲の人について確認するための「礼節チェックテスト」が収録されています。自分のふだんの態度に不安を感じた人は、「3つの基本動作(まず微笑む、相手の存在を認める、話を聞く)」を頭に入れると「礼節」を取り戻すことができそうです。

【企業の業績アップに結び付く「礼節ポイント」】
・リソースは惜しみなく他人と共有すべき
・成果を独り占めしない
・フィードバックの与え方に注意(自分の仕事、自分のいる意味を感じさせる)
・礼節のための規範をつくる
・礼節ある行動をとった人を評価するシステムをつくる(仕事の結果だけでなく過程が評価される文化をつくる)

 誰しもが、礼儀正しさや丁寧さのあふれる職場で気持ちよく働きたいもの。会社の生存にかかわる「礼節」を可視化して考える本書は、個人にとっても組織にとっても新しい「処方箋」として効き目がありそうです。

文=泉ゆりこ