上司からの30分おきの連絡が超ストレスなんですけど! テレワーク時代の上司と部下の在り方とは?

ビジネス

公開日:2020/6/25

『テレワーク大全』(日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ:編/日経BP)

 テレワークが広く普及し、働き方が大きく変わった。これまでは毎朝同じ時間に出社し、忙しいときには当然のように残業をしていた。社内に遅くまで残っているのは誰の目にも留まるから、多少なりとも“頑張っている感”は出るし、大変そうにしていれば業務量を調整してもらうこともできた。
 
 だが、テレワークになった瞬間、一緒に仕事に取り組んでいるはずの同僚の忙しさを把握するのがむずかしくなった。筆者はIT企業でアプリの企画に携わっているが、ともにサービスを作るエンジニアやデザイナーの稼働状況が見えにくくなった。かといって、進捗確認のためだけに会議を増やすのも気が引けるため、試行錯誤の日々が続いている。
 
『テレワーク大全』(日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ:編/日経BP)は、そんなテレワーク時代の悩みに対する解決策を網羅する新刊だ。上司と部下のコミュニケーションなど、チームでの働き方についても多くのページが割かれている。

「上司が30分おきに連絡してくる…」テレワーク時代の最適解は?


 テレワークの悩みで多いのが、やはり社内コミュニケーションに関するもの。チャットツールやWeb会議を使いこなせば、必要最低限の情報交換はできる。だが、会社で何気なくやっていたコミュニケーションは、テレワークで代替しにくい。

 そのひとつが進捗確認だ。出社していれば、すれ違ったときの会話や、働く様子で確認できたが、遠隔になると途端に難しくなる。本書によれば、上司が30分ごとに進捗確認のメッセージを送ってきて返信を要請する、なんて例もあるようだ。部下の様子が気になる気持ちもわかるが、マイクロマネジメントが行き過ぎるとストレスにつながりかねない。

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 また、テレワーク時代のマネジメントは、チャットツールで「進捗は予定通りですか?」と聞くだけではうまくいかない。本書は、部下のタイプに合わせたやり方が必要だと語る。たとえば、中堅クラスの社員であれば、新人のようにすべてを管理しなくてもよい。何かしら行き詰まったときや、ある項目まで完了したときに報告するように指示すれば十分だ。お互いが気持ちよく仕事ができる環境を目指そう。

「ねぇちょっと」ができない今、デジタルで解決できるか?

 社会人2年目の筆者にとって切実なのが、先輩社員に「ちょっとした質問」がしづらいことだ。その場で聞けば一瞬で解決するようなことも、チャットツールだと長文になってしまうし、わざわざZoomで会議を設定するのも大げさに思えてしまう。部下→上司だけでなく、上司→部下への連絡でも問題はある。集中して企画書を書いているときに、上司から緊急性のない確認がくると、正直「後にしてほしいな…」と思うこともある。

 こうした行き違いを避けるには、チャットツールなどに導入されている「プレゼンス」機能が有効だという。「応答可能」や「離席中」というように、自分のステータスを表示できる。誰かに用事があるとき、その人が忙しいかどうかがわかれば、適切なタイミングで話しかけられる。デジタルツールを活用した気遣いは、今後ますます重要になっていくだろう。

 本書では、ビジネスチャットやWeb会議ツールの使い方に始まり、モニターやマイクなどのテレワークグッズの紹介もしているので、他のトピックも大いに参考になるだろう。慣れるまでは不便なことも多いテレワーク。仕事の効率を上げるには、便利なツールを導入することに加え、ツールを使う私たちが工夫をすることも大切だ。新しいツールにアレルギー反応を示すのではなく、まず使ってみて自分たちなりの活用法を見つけたい。

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文=中川凌(@ryo_nakagawa_7