仲良し老夫婦がイケメン&美女として若返る。そのとき、周囲の反応は……?

マンガ

公開日:2020/8/12

じいさんばあさん若返る
『じいさんばあさん若返る(1)』(新挑限/KADOKAWA)

「10年前に戻れたら」

 最近、よく友人とそんな話をするようになった。しかしこう話すときは、いつも条件つきだ。私たちは今の自分の知識や経験と一緒に、10年前に戻りたいのだ。

 20代や30代でそうなら、私たちが年老いたらどう感じるのだろう。ふとそう思ったとき、『じいさんばあさん若返る』(新挑限/KADOKAWA)というマンガに出会った。

 本作はツイッターでヒットし、6000万以上のPVを獲得したコメディである。内容は、タイトルのとおり、歩くのもやっとになってしまったけれども、今も仲の良い老夫婦が、ある日目覚めたら急に若返っていたというものだ。若い頃はとびきりの美男美女だった二人は周囲から注目を浴びる。

「若い頃に戻る」というストーリーは、これまでエンターテインメントの世界でなかったわけではない。だが若返った主人公たちは現在の自分に不満を感じていて、新しい人生を歩みたいと心のどこかで願っているケースが多かった。

 それが叶う形での「若返る」ストーリーには見慣れていたが、本作に登場する「じいさん」と「ばあさん」はそうではない。二人はこれまでの人生を、一からやり直したいわけではない。二人が出会う前に戻りたいとも思っていない。夫婦仲の良さがずば抜けているこの主人公夫婦にとっては、老いても若返っても、生活は大きく変わらない。むしろ変化するのは夫婦の周囲にいる人間たちである。

 主人公夫婦の息子の妻・楓(かえで)と孫娘・未乃(みの)は若返ったおじいさんのあまりのイケメンぶりに、心をときめかす。若い未乃は率直に、夫のいる楓は心の声としてこう話す。

“ねーねーおばーちゃん
おじーちゃん ちょーだい!“(未乃)

“どうしましょ 超タイプ”(楓)

 彼女たちがそわそわするたびに、おばあさんは「だめですよ」と言ったり寒気が走ったりする。だが、近所の男性たちは若返ったおばあさんに心をときめかせている。1巻の中盤では未乃まで「私おばーちゃんと結婚する」と言い出す始末である。

 主人公夫婦の凄いところは、美しいのが外見だけではないところだ。どんなにもてても、おじいさんはおばあさん一筋、おばあさんはおじいさん一筋。それはまったくぶれず、二人のさりげない言葉や行動に周囲は励まされるのだ。

 さて、老夫婦が若返ったのはなぜなのか。

 その理由は、本作では1巻の中盤まで明かされない。何も考えず笑いながら読み進めていくと、終盤、著者による28ページの描き下ろしマンガでようやくその謎が解き明かされる。

 本作の続きが気になる人は、ツイッターで「あらいどかぎり」と検索してみてほしい。作者のアカウントがヒットするはずだ。そこから2巻以降に収録される予定の続きが読め、再びおじいさんとおばあさんの若返りワールドに没頭できる。

文=若林理央

この記事で紹介した書籍ほか

じいさんばあさん若返る (1) (MFC)

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784040645322